ベネッセ教育総合研究所
特集 教師の「授業力」向上のために
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「情報発信」と「組織づくり」の確かさで
保護者と地域の人に活躍の場を与える
 このように取り組みが順調に浸透してきた理由について、松井先生は情報発信がポイントだと語る。
「取り組みの内容だけでなく、子どもたちが実際にどのように反応し、どう感じているのか、また、保護者が学習参加することにどのようなメリットがあるのかを地域や保護者に積極的に発信してきました」
 例えば、保護者・地域向けに年2回発行する学校だより『創学』では、読み聞かせについて「夢中になり、時間を忘れます。もう少し長い時間聞きたいです」といった子どもの感想や、「わが子だけでなく、いろいろな子と仲良くなれる。視野が広がるようで楽しい」「町で会っても話すようになってネットワークが広がる」といった、ボランティアの声を紹介してきた。
 そのほか、年1回開催する「谷小(やしょう=小千谷小の愛称)教育を語る会」などで地域や保護者も交えた研究発表を実施したり、就学時健診の場で、新しく保護者になる方に取り組みのねらいや概要を説明している。  こうした情報発信に加えて、牧野明雄校長は、意識的に組織づくりを進めてきた成果を指摘する。
「開かれた学校のための取り組みは、ほかの学校でも行われていますが、私たちの学校では、保護者や地域の方に継続して活動していただけるよう、ボランティアコーディネーターを設置するとともに、地域から人材を確保するための方策を年次ごとに組織的に積み上げてきました。そこが大きな違いだと思います」
 保護者に限らず、地域には「学校のために役に立ちたい」と思っている人がたくさんいる。校区だけでなく、市報で広域から参加者を求めたのも、この取り組みが成功した理由の一つだ。積極的な気持ちを持つ人の活躍の場となり、毎年メンバーの更新をしているからこそ、継続性のある組織活動が維持できている。
 開かれた学校に向けた取り組みを始めてから10年。地域・保護者との連携を礎に、同校の取り組みが今後どう進化していくのか、注目していきたい。


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