ベネッセ教育総合研究所
山脇良雄氏にきく
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教育改革の根底にあるのは制度論よりも教育論
──さまざまな義務教育改革が進んでいますが、小学校の現場の先生方に伝えたいことはどんなことですか。
常盤 いま最も現場の先生方の関心が高いのは、おそらく04年夏に出された「義務教育の改革案」(注3)、なかでも「義務教育の制度の弾力化」案ではないでしょうか。
注3 04年8月、河村文部科学大臣(当時)が打ち出した義務教育改革案。小・中学校の区切りや小中一貫教育の導入など、地方が多様な教育を主体的に実施できるようにする考えを示した「義務教育制度の弾力化」のほか、「教員養成の大幅改革」など、4つの柱からなる。
 冒頭申し上げた小・中接続のところで起きてくる問題ですが、いろいろ調べていくと、子どもたちの大きな変化が小6と中1の間で起きているのか、小4と小5の間で起きているのか、意見が分かれています。6・3制を小中一貫教育にしたほうがよいという意見の背景には、小4が終わったころから子どもに変化の兆候がみられ、中1くらいにかけて大きく変わるという考えがあります。
 義務教育の改革案は、マスコミ報道の影響もあり、制度問題として受け取られがちですが、学校現場では、「教育論」として受け止めてほしいのです。つまり、もう少し子どもたちの発達段階に応じた、重点的な教育をしていこうという提案なのです。例えば、小学校低学年では基礎・基本を大切にして教え、中学校では、思考力・表現力を高める指導や、社会のなかでの自分の位置がわかる教育をする。何も制度改革をするだけが改革ではないと思います。問題意識を持った日々の実践の積み重ねで、学校は確実に変わっていくと思います。


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