学校の活性化を視野に、全国学力テストの実施を検討 |
|
──11月2日に中山文部科学大臣が「甦(よみがえ)れ、日本!」と題した私案を発表されましたが、その背景について教えてください。
常盤 今回の私案に盛り込まれている「全国学力テスト実施」の目的は大きく二つあります。一つは、学校での取り組みに対する評価をしっかり行い、説明責任を果たすこと。もう一つは、全国状況との比較を可能にすることで、学校ごとの指導改善や子どもの学習意欲を高めていきたいということです。PISA(注4)の国際調査結果などから、日本の学力課題も見えてきました。 |
注4 OECD(経済協力開発機構)が実施する15歳児(多くの国の義務教育終了年齢、日本では高1)を対象とした学習到達度調査のこと。2000年調査は32か国約26万5千人が参加。 |
そうしたなか、世界でトップクラスの学力を継続的に維持していくためにも、学力テストを活用した学校の活性化が必要ではないかと考えているのです。
今回、全国一律に「全員調査」ということは明言しておりませんが、仮に全員に調査するとなれば、児童・生徒は全国の相対的な位置づけのなかで自分の学力を把握することもでき、よい意味で競争意識を高め、学習意欲の向上につながるとも考えております。
──競争意識を助長することになりませんか。
常盤 誤解を恐れずに申し上げると、これからの学校、自治体には、適度な競争意識が必要です。それが学校改善につながるからです。ただし、過度な競争にならないような制度設計は必要だと思います。学校現場で根づいてきた「絶対評価」のよさを生かし、「他人との比較ではなく個人内での評価」を大切にしながら、一方で学力テストで相対的な位置づけも知ることによって「競争心」も育てていき、結果として学力向上につながるようにしていかなければなりません。
学力テストの具体的な実施内容や実施方法は、今後、中央教育審議会の教育課程部会で議論をしていただくことになっています。自治体独自の学力テストとの関連だけでなく、作問・集計・分析・公表の方法など、考えていかなければならない課題はたくさんありますので、中教審で十分議論していただくとともに、自治体とも十分に連携をしながら実施計画を考えていきたいと思います。
──ありがとうございました。
|