ベネッセ教育総合研究所
特集 教室を超えて生きる国語力
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教師間のコミュニケーションが指導力としての国語力を高める
 「日本人は人と違う意見を言うことに慣れていない」といわれるのは、教師といえども例外ではない。自分自身が発表や討論の教育を受けてこなかったために、子どもたちへの指導に難しさを感じているという教師は現実に少なくないようだ。
 「実際、授業で子どもの意見を引き出し、討論などを通じてコミュニケーションの力をつけさせるとなれば、指導する教師にはかなりの力量が求められます。しかし、教師のそうした力を育成するための指導、研修は不十分ですし、また教師を指導できるだけの力をもった人材も少ないのが現状だと思います」(有元氏)
 有元氏は、教師の指導スキルの向上の必要性を指摘しながら、現段階でも授業のなかでできる工夫として、「Show & Tell」(自分の好きなものを持ってきてみんなに説明する)や「Book Talk」(自分の好きな本についてみんなに説明する)を挙げる。大切なのは、発表のあとで必ず「質疑応答」を行うことだ。そうすれば、発表する側も聞く側も語彙力やスピーチ力をつけることができる。
 「また、ぜひ実行してほしいのは、先生自身も職員会議や研究授業、同僚とのコミュニケーションのなかで、意識的に自分の意見を言ったり議論したりすることです。そうすれば、根拠をもって意見を言うことの難しさがわかり、子どもを指導するために必要な知識やスキルも自然と身につくでしょう」(有元氏)
 学校に入学する以前の家庭環境や生活環境によって大きく左右される子どもの国語力。しかし、その力はコミュニケーション能力や思考力、読解力など、子どもたちが社会に出たときの「生きる力」の土台となるものだ。その国語力を伸ばすために、学校は何ができるのか。ここで整理した課題とその解決の視点を踏まえて、次に学校現場の取り組みを紹介していく。


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