e授業のある風景 石川県金沢市立大野町小学校

石川県 金沢市立大野町小学校

大野町小学校は、金沢市の北に位置する1学年1クラスの小規模校で、1874年に開校し、約130年の歴史を持つ。大野町は「醤油の里」と呼ばれる伝統産業の町で、醤油・味噌造りの店が28軒ある。町全体で学校を応援し、子どもたちを育てようという気概が感じられる地域で、生活科や「総合的な学習の時間」などを通して、さまざまな人々と交流し、伝統産業・文化にふれている。

滝谷内範男先生

▲校長 滝谷内範男先生

児童数◎155人
学級数◎6学級
〒920-0331
石川県金沢市大野町1-15
TEL 076-267-1466
FAX 076-267-1466
http://www.kanazawa-city.ed.jp
/oono-e/

辻 和久

▲研究主任・情報教育担当

辻 和久

Tsuji Kazuhisa

室本眞希

▲5年生担任

室本眞希

Muromoto Maki

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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e授業のある風景

石川県 金沢市立大野町小学校

メディアの特性を見極めた活用で学習効果を高める

ITはその特性に合った目的・シーンで活用してこそ学習効果を発揮することができる。行事や教科学習において広くITを利用する大野町小学校の取り組みのようすと、それを実現する地域や行政の支援体制を紹介する。

地域の伝統にふれ、発信するためにIT能力を育成

 大野町小学校は教育目標の「ふれあい・感動・発信」に示されるように、さまざまなふれあい体験をするなかで、素直に感動し、新たなものを創り出す子どもを育てることを目指している。
 その特徴がよく表れているのが、生活科や「総合的な学習の時間」の取り組みだ。地域の協力を得て、町の人から話を聞いたり情報をもらったりして、大野町の伝統的な産業、町の人たちのくらし、お祭りなどの文化などにふれ合い、自分たちの住む町のすばらしさを実感する活動が盛んだ。
 大野町には醤油造りという伝統産業やさまざまな地元の伝統文化があり、調べる素材には事欠かない。滝谷内範男校長は語る。
 「この町の人たちからは、子どもたちのことを応援するという強い姿勢を感じます。例えば、7月の日吉神社の祭礼では、大人たちは獅子舞、高校生は悪魔払い、小学生は太鼓といった具合に、さまざまな年代の人たちが参加して町内を練り歩きます。そのとき、子どもたちが大人から学ぶという伝統があります。もともと、地域の大人がみんなで子どもたちを育てていくという雰囲気があることを感じます」
 運動会を学校独自ではなく町の運動会と合同で行ったり、夏の祭礼のミニチュア版といえる「秋祭り集会」を実施して地域の人々を招いたりして、学校もよき伝統に倣って積極的に地域との交流を図っている。
 そうした地域の人たちとの交流の内容をまとめ、発表するうえで大きな力となるのがITだ。金沢市では2001年度から小・中学校のIT環境の整備に取り組み、大野町小でも02年度よりクラスの全員が一人1台のパソコンを使えるようになった。以来、生活科や「総合的な学習の時間」を通して、子どもたちのITスキルの習得に努めている。
 それを支えてきたのが、ITサポーターの辻村薫さんだ。3年前に辻村さんが大野町小学校の担当になったころは、ようやくパソコンが揃ったばかりで、決してIT活用が盛んな学校とは言えない状況だったという。
 「先生方一人ひとりに声をかけ、それぞれの要望に添った対応を続けるうちに、徐々に変わってきました」(辻村さん)
 大野町小は全学年単学級で30名以下という規模だからこそ、先生や子どもたちの状況を把握し、適切なアドバイスを行える。その結果、いまでは子どもたちが積極的にデジカメを持って校外に出かけ、撮影し、それをパソコンに取り込んでプレゼンテーション資料を作成するなど、高いITスキルを身につけられるようになった。児童ばかりでなく教師のスキルも、こうした実践やITサポーターによる援助を通じて、着実に向上しているのだ。


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