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「学びの基礎力」が高いと「教科学力」も高い |
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例えば、「教科学力」と「学びの基礎力」の関係を見てみると、右肩上がりの、正の相関を示すグラフになります。「学びの基礎力」の各項目のレベルが高い子どもほど教科学力も上がっていっているのです。豊かな体験がしっかりしている、つまり生活体験がしっかりしている子、エネルギーの高い子、自ら学ぶ力のある子、学びを律する力のある子は、教科学力も高くなっています。(図2) |
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「生きる力」と「教科学力」との相関も同様の傾向です。たとえば、総合的な学習の時間や、中学校の選択教科の課題学習、小学校の国語・理科・社会にある「問題解決的な学習」をおろそかにして、生きる力を育成しないまま、ただ習熟度別授業や少人数授業をやって効率的な学習を進めるだけでは教科学力は伸び悩んでしまうということです。
ここで考えておきたいのは「教科学力」「学びの基礎力」「生きる力」の3つの力の相互関係です。この3つの力はどれ1つを欠いても、十分に子どもを成長させることはできないと思います。3つの力をバランスよく相互に関係づけながら総合的に身につけて、はじめて「21世紀に必要な豊かで確かな学力」になるのだと考えます。
このように、子どもたちに身につけさせたい力を総合的に定義することによって、これまでの「学力低下」キャンペーンが、教科学力における知識理解の量と正確さのみを対象にした議論にすぎない、ということが見えてきます。学力低下の問題は、決して知識量の低下だけではありません。それよりも「生きる力」や「学びの基礎力」の低学力問題の方が大きな課題なのです。 |
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