ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
石亀嶽校長
石亀嶽校長

福井県敦賀市立
敦賀西小学校
〒914-0064
福井県敦賀市結城町8-6
TEL/0770-22-0538 FAX/0770-22-0530
校長/石亀嶽先生 児童数/356名 学級数/13学級

若狭湾に面した人口6.9万人の敦賀市の中心部にある敦賀城の跡に建てられた、海にほど近い静かな学び舎。学校には3つの図書館があり、合計11,300冊の蔵書がある。2003年度より文部科学省から国語力向上モデル事業推進校としての指定を受け、「言葉を理解し、言葉で考え、言葉で表現する」という国語授業の研究と実践に力を注いでいる。

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テーマ2 学力調査を活用した指導改善(2)
国語の力を伸ばすことで全体的な学力強化を実現する
 福井県敦賀市の敦賀西小学校は、日本語の読み取りや書き取りができることを学力向上のスタートと捉え、国語科授業の創造に力を入れている。全校児童による詩の音読「ことばの広場」をはじめとしたユニークな取り組みで学力向上を図っている敦賀西小学校の実践を紹介しよう。


問題の読み間違え 言語の基礎力に課題
 敦賀市立敦賀西小学校は、1995年度~99年度に「学校図書館教育実践校」、03・04年度には文部科学省より「国語力向上モデル事業推進校」の指定を受けるなど、国語教育の伝統と実績を持っている。
 「学校図書館教育実践校」としては、調べ学習室の設置をして、調べ学習の場として活用したり、読書の定着を図ったりして、図書館の活用を推進して、それによって国語の力を養ってきた。
 しかし、近年、算数のテストで、設問中の言葉の取り違えにより、適切な答えを導くことができないなど、児童の言語の能力に課題を感じていた。この現象は低学年ばかりでなく、高学年の児童にもみられた。
 「言語による理解力不足の課題を感じていました。保護者や、私たち教員からのコミュニケーションにも、改善すべき点があるのではないかと考えたわけです」(石亀嶽校長)
 「敦賀西小の児童は、課題に対して真面目に取り組むが、表現力やコミュニケーション力に欠けていることを授業を通して漠然と感じていました」(研究主任・服部秀一先生)
 読書指導の成果で、読書好きな児童が多いという良い面だけにとどまらず、国語指導や生活指導のなかにも改善すべき点があるのではないか。感覚的な課題を客観的に捉える観点から、実態把握のために、敦賀西小学校は03年度国語の意識調査、04年度「学力調査」(注1)に取り組んだ。

(注1)ベネッセの「総合学力調査」。教科学力に加え、「学びの基礎力」「生きる力」を加えたトータルな学力を捉える調査

 国語に関する意識調査の結果からは、「書くこと」「話すこと」など表現することを苦手とする児童が多いことがわかった。また国語の授業は78%がわかる(よく+だいたい)と答えているのに、楽しい(とても+楽しい)が62%という結果もでてきた。(図1)
図1
■図1 国語の意識調査(敦賀西小が実施した調査)
また、学力調査では、「見直しをして、勘違いをなくすように先生に言われているか」などの項目と「家庭で何かの役割を任されている」などの項目で全国平均を下回り、「教師の働きかけ」と「家庭での働きかけ」に課題があることもわかった。


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