ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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国語力を伸ばすことで他教科へも波及
 04年度の研究推進計画を検討し、「進んで学び、自らを拓く子の育成」をテーマとして設定した学校課題研究構想(図2)を掲げ、個々の取り組みに意味を持たせていくことにした。
図2
■図2 学校課題研究構想
 国語に関する課題への対策として、いくつかの取り組みを全校で行っている。以下4項目にまとめてみた。
(1)「漢字タイム」で基礎学力をつける  国語の時間の始めの5分を「漢字タイム」(写真1)と名付けて、小テストやドリルを活用する。
写真1
■写真1 漢字タイム
空書き、なぞり書きの方法も盛り込み、漢字の定着をはかっている。行っている内容は学年や時期に合わせて工夫をしている。漢字トレーニング(写真2)と教科用語編(写真3)を独自教材として作成している。これは、国語科だけでなく、各教科で出てくる漢字の用語全てが網羅されているため、小学校の漢字は全部おさえることができる。この定着を毎学期の「漢字力だめしプリント」で検証している。
写真2
■写真2 漢字トレーニング
各学年で学習する漢字をまとめている
写真3
■写真3 漢字トレーニング教科用語偏
図中の「六社」は6年生社会の意味
 こういった漢字の取り組みは漢字クラブ(研究部内にある漢字指導プロジェクト)で企画立案され、検証されている。一つひとつの漢字の通過率までを分析し次の取り組みに生かしている。
(2)「ことばのとびら」「ことばの広場」
 毎月一度、全校生徒が体育館に集まる機会がある。20分の内容で、詩歌や俳句の朗読によって豊かなことばの体得をめざす。この取り組みは、以前から行っていたが、さらに題材を検討し、発声・発音・言葉の強調、語彙の習得に重点をおく指導方法が盛り込まれている。自分の思いを表現する日本語スキルと情感を言葉にのせるための実践的指導である。
 まず、「ことばのとびら」では、担当の松村由利子先生が俳句や季語を紹介し、その意味や関係のある言葉の説明を行っている。低学年にとってはかなり難しい内容だが、子どもたちは一所懸命に聞いたり読んだりしている。(写真4) また「ことばの広場」では、課題となった詩を各学年パートに分けて群読を行ったり、表現の工夫を発表し合ったりしている。
写真4
■写真4 全校生徒を集めた「ことばのとびら」の様子
正しい発声方法を指導しながら、詩の持つ意味を事前に各組で教える。高学年が学ぶ詩の素材が選ばれることもあるが、低学年にも対応ができるように工夫されている。全校で取り組み、低学年のパートを聞くことで、中学年・高学年の児童が刺激されるという効果もあるという。(写真5)
写真5
■写真5
ことばの広場「雨ニモマケズ 風ニモマケズ…」敦賀西小学校の体育館に、子どもたちの声が響く。全校集会「ことばの広場」の光景だ
1年生から6年生までが一同に会し、詩を朗読するこの集会は、敦賀西小の国語教育の一環として取り組まれている

(3)「ことばの体得」を指導案に明記
 基礎学力の支えとなる「ことばの体得」に重点をおき、読むことの位置づけ・書くことの位置づけを明確にし、指導案に明記している。また、言語事項の一覧表と対応させ、指導する言語事項を明確にした指導案の工夫も行っている。
(4)ノート指導の徹底
 自分の考えを整理したり、学習をまとめる意味でも、書く習慣づけは大切と考え、敦賀西小学校では、授業中のノートをしっかりとることから、スキルアップのための指導をした。 
 各学年ごとに、ポイントをしぼり、ノート指導を行っている。低学年では、黒板の板書を丁寧に写すことから始めた。高学年になるにつれ、学習の流れが、一目でわかるようなノート作成を指導する。板書を写すだけにとどまらず、自分のノート作りを工夫させることで、文書を書くことが苦手と感じる子どもたちをケアしている。


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