ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
天谷國雄校長
写真後列左から
湯谷好史先生(四中) 佐伯華彦先生(四中) 門田雄治先生(北小)

前列左から

藤井美砂緒先生(北小) 湯藤由佳先生(北小)
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03年度の総括を踏まえ算数・数学で小中連携を実践
 03年度の総括から、算数・数学で計算問題はできるが、応用でつまずいているという課題が見えてきた。
 算数・数学の授業では、問題解決的な授業実践に重点をおいてきた。しかし、北小学校・教務主任の藤井美砂緒先生はこう指摘する。
 「算数の本質的な面白さを、授業で十分に指導できていなかったのでは、と反省しています」
 解決策として検討されたのが、小中連携による学び方の一貫性である。
 その取り組みとして、接続を踏まえた授業を行うことで子どもの単元に対する理解を深め、問題解決型の学習を実践しようと考えた。
 接続授業は、小・中双方の先生方が連携プレーで行う。これまで、小学校で教えている内容が中学校でどのように扱われているのか、また、中学校に上がる前に、小学校ではどのようにしてきたのかといった点についてほとんど情報交換が行われてこなかったため、まず、思い切って両者の壁を打ち破ることから始めた。双方の授業を見学し合い、教材の扱い方や、授業の進め方、教具について理解したうえで、それぞれの学校に戻り、個々の指導案を改善したのだ。
図1
■図1 四中・北小連携の基本構想図
 第四中学校・教務主任の佐伯華彦先生は、連続性を意識した授業について次のように指摘した。
「例えば、分度器など、算数・数学で使う教具を先生同士で検討し、どういった分度器を使うのが適切か、また、どのように発問をしていけば良いかといったことを、双方の単元による扱いを理解した上で統一を図れば、中学生は『あのとき使ったものだ』と小学校と関連付けて授業に入っていくことが可能です。生徒の興味の度合いが格段に高まりますね」
 カリキュラムの連続性についても、改善策が盛り込まれた。授業研究が行われ、以前にも増して意見交換が活発になった。
 04年2月に北小学校で行われた公開研究会は連携授業の重要性を確認するものとなった。ここでは小6の算数がモデル授業になったが、比例の単元と同様の内容が出てくる分野については関連性を強調した指導案が作成された。
 具体例を挙げると、小学校の比例の授業では、対応表を横にみて、二つの量の関係をつかむのだが、中学校では縦に見て関係をつかむことが重要視される。(図2)
図2
■図2 「比例」を教える時の小中の違い
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 そこで、小学校の授業においても、縦の見方を意識的に盛り込むことで、学習の接続性を図ったのだ。
 こうした取り組みの結果から徐々に子どもたちの授業に対する構えが変わってきたという。04年4月の学力調査においても、全学年の算数の到達度が府中市の全体の平均を超えた。


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