ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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教師全員が自らの目標を宣言毎日授業も公開する
 計画的な学習を進めるうえでは、教師自身も「学びを律する力」や「学びに向かう力」の大切さを自覚することが大切だ。そこで青葉台中学校では、月別に教科ごとの授業を教師全員に公開し、授業の感想や意見などを校内LANを通して交換。教師同士が授業改善に対して相互支援を行っている。
 さらに、教師全員が生徒の学力向上や課題解決に向けた自らの取り組みを年度初めに宣言。それを踏まえて校長が年2回ほど一人ひとりと面談を行い、具体的にどんな取り組みを行ってきたのか確認し合っている。
 「掲げる目標は、抽象的なものではなく、宿題を毎日出す、全員に手を挙げさせるなど、具体的で、教師の身の丈に合ったものにしてもらいます。そうした取り組みが学校の課題解決のどの部分に当たるのかを示せれば、日常業務で手いっぱいになりがちな教師でもモチベーションを維持できます。個々の目標を明確にし、楽しく研究すること。学力向上も課題の解決もみんなで楽しく、というスタンスを大切にしています」(渡邊校長)
 廊下ですれ違うたびに、自然と気持ちよくあいさつをする生徒たち。そんな伸びやかさにも、校長の言う「楽しく学ぶ」という気風が反映しているのかもしれない。学力調査をもとにした新たな取り組みで、青葉台中学校の総合的な学力がより豊かに育まれることを期待したい。
 
「学力調査」の活用と工夫
(1)教科学力以外の力を客観的に把握
生徒の教科学力以外の力も学力調査できちんと測ることで、日頃の授業を通して教師が漠然と感じていた学力向上の課題や問題点をはっきりさせることができた。
(2)2~3月に調査実施すると、次年度の計画づくりに生かせる
「当校は04年2月に実施した調査結果を3月に分析し、それを基に04年度のアクションプランを作成しました。3月には結果が出たので、今年度の教育計画にもしっかり活用できました」と木澤教頭。学力調査の数値は今年度のアクションプランや地域懇親会向けの資料でグラフを用いてわかり易く示し、学校が抱える課題や学力向上の目標などについて保護者の理解を促進した。
(3)保護者へはグラフを用いて課題や目標を分かり易く提示
保護者や生徒に対しては調査の結果をビジュアルに見せることで、生徒のどの部分を引き上げていくのかを具体的に示せる。
「教育の場においてはわかりやすさが何よりも大切ですし、説得力のある数字を前にすれば保護者との会話も活発になります」(木澤教頭)
(4)データづくりは外注化し、データ化されたものを活用
05年1月には、新潟県教育委員会による学力調査が実施される。しかし、青葉台中学校では教師の要望を受け入れて、ベネッセの学力調査も引き続き行うという。
「当校にはコンピュータに強い教師が多数いますが、調査の結果を自分たちで数値化するよりも、その時間を分析や生徒たちの面談などに有意義に使いたいと全員が思っています。そういう意味でも、データづくりまでできるベネッセの学力調査は、活用の価値はあると感じています」(木澤教頭)


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