ベネッセ教育総合研究所
第1章 地方自治体がひらく新しい教育
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「この地域でしか学べないこと」の追究を
 今、地教委に最も求められているのは、地域の特性を個別の学校に反映させる施策を推進すること、そして現場の校長や職員のやる気を高める環境を整備することです。
  地域の特性を教育に反映させるには、保護者や子どもの価値観や考え方、気候風土や地域性といった要素を踏まえた教材研究や授業研究を重ねる必要があります。一律に国の参考例に従う教育では、地域の特性が生かされませんし、子どもの意欲も高まりません。生活科や「総合的な学習の時間」、発展的学習などを利用して、地域環境に根ざした教育を実践し、自分たちの地域でしか学べないことを追究する姿勢が大切です。それは、この町で育ったこと、この学校で勉強できたことに対する、子どもたちの喜び、満足感につながります。
  また、忘れてはならないのは、教育の最大の条件整備は「人」、つまり教師だということです。そこで、地教委には、市区町村や郡の単位で「教育センター」の整備を行ってもらいたいです。教育センターには小さな会議室を数多く用意し、国内のすべての教科書、関連資料、開発教材をそろえ、教師の研究をサポートします。放課後も気軽に足を運べるよう、夜遅くまで開館するなどの配慮も必要です。こうした「地域カリキュラムセンター」の機能を備えた教育センターを、首長に働きかけるなどし、早期に整備することを勧めます。
  また、学校独自で行うのが難しい分野をカバーすることも、地教委の大切な役割です。地教委の主導で、地域に根ざした副読本の作成や教材開発を行ったり、評価規準の作成においても、地教委がある程度のマニュアルを設けることで、学校運営がよりスムーズになります。
  そうした施策を行うには、当然、地教委の指導主事の力量が問われます。教育の舵取りを担う指導主事には、現場の教師にもまして、たゆみない勉強が必要です。指導力のある人材を地教委にできるだけ多く置くことが、現場の教員の力量向上にもつながるのです。


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