ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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2 絶滅危惧種のサギソウを丹波焼と融合
 今田小学校の地域性を生かした教育は、「丹波焼」と「サギソウ」を軸にして展開される。サギソウとは、可憐な白色の花を咲かせるラン科の一種で、かつては今田町の至るところに群生した。しかし、白鷺が羽を広げたような美しさから乱獲する人が絶えず、今では絶滅危惧種に指定されている。今田小学校では、全校児童でその保護活動に取り組んでいる。
  そもそも、丹波焼とサギソウを本格的に学習に取り入れ始めたのは98年のことだ。それ以前にも、図工の時間に丹波焼を作ってはいたが、ほんの一工程に触れるだけだった。今田小学校の学習システムづくりを担当する酒井達哉先生が当時を振り返る。
  「もっと地域教材を生かした学習ができないかと模索していたころ、ふとマンホールのフタに目が留まったんです。そこには今田町の二大シンボルである丹波焼とサギソウの模様があしらわれていたんですね。この二つを融合させようと、早速、教師が協力し合いながら学習内容を検討し始めました」
  そして、最初は5年生がサギソウ保存会から球根を譲り受け、理科の時間でサギソウを栽培し始めた。翌年には活動は全学年に広まり、一方では1年生が図工の時間に使用するサギソウの鉢を丹波焼で作るようになった。
  「植えてみたら、丹波焼の素朴さに、サギソウの花が見事に映えたんですね。この魅力を地域の人にも伝えようと、高学年は丹波焼で花器を作り、公共施設に展示するようにもなりました」(酒井先生)
  サギソウと丹波焼の活動を結びつけたことにより、子どもたちは希少植物を保護するという目的だけでなく、丹波焼についても一連の工程を最後まで目的意識を持って取り組むことができるようになったという。
写真
▲かつて絶滅の危機にあったサギソウに水をやる今田小学校の子どもたち


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