特集 つながる幼小の「学び」 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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就学前までの学びの履歴を踏まえた指導を

  例えば、小学1年生の算数の授業で、「5+3」という問題を取り上げます。先生は子どもに「考えてみよう」と言うのですが、実は、ほとんどの子どもは答えが「8」だと知っているんです。それなのに先生に「考えてみよう」と言われ、なぜわかっているものを考えなければならないのか悩み、逆に、何を考えればいいのかわからなくなってしまうんです。
  小学校に入る前から、子どもたちは生活の中で、お菓子を数えたり、トランプをしたりして、しょっちゅういろいろなものを数えています。実は小学校の算数のベースは就学前に培われています。1年生の算数でより大切なのは、「5+3」の筆算の式の書き方を覚えることです。ここをきっちり押さえておかないと、2桁の計算が出てきたとき、桁を揃えて計算することができないからです。だから、答えが「8」かどうかではなく、このときに筆算の式はどう書くのか、それがポイントだということを教師は十分に意識して、子どもに教えることが大切だと思うのです。
  小学校の授業が成り立つのも、それまでの子ども自身の学びの成果があってこそだということを、先生方はもっと意識してもよいのではないでしょうか。そして、子どもが幼児期までに獲得したものを踏まえ、それを上手に利用するような指導が展開されてもよいと思うのです。
図2

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