教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]千葉県館山市立北条小学校

千葉県 館山市立北条小学校

1873年開校の北条学区小学校が前身。1949年から独自のカリキュラムを編成するようになり、それが発展して「北条プラン」となる。95年には文部省(当時)から「創造性に富んだ特色ある教育」として「文部大臣賞」を受賞。「ノーチャイム」を行うなど、新しい試みも積極的に取り入れている。

諸岡研

校長 諸岡研先生

児童数 768人
学級数 26学級
所在地 〒294-0045 千葉県館山市北条456
TEL 0470-22-2141
FAX 0470-22-2142

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教育現場の挑戦 学力向上の取り組み

千葉県 館山市立北条小学校

「北条プラン」のもとで教師の指導力を高め
高レベルの授業をめざす

 KEY POINTS 実践のポイント
 1 学年会とプラン実践検証サイクルを軸に、授業のPLAN→DO→SEEのサイクルを実践する
 2 カリキュラム管理室で、学年・教科・月別の教材をすべて管理する
 3 自主的な体験を教科との関連で積み重ねられるよう、6年間を見通した「統合学習」を行う

500人以上が来校する公開授業で学外に意見を求める

 北条小学校は、教育目標「たくましく現代に生きる子どもの育成」に基づいたカリキュラム「北条プラン」を6~7年のサイクルで作成している。時代が求める力に合わせて理念を考え、それを具現化するための方針を教科ごとに立てたうえで編成する、北条小学校独自のカリキュラムだ。戦後間もないころから50年以上つくり続けられている北条プランは、「本校の文化であり、指導に迷ったときなどに立ち返る根源です」と諸岡研校長は説明する。
  現在は2000年刊行の「北条プランIX」に基づいて指導しているが、時代の変化に合わせて、北条プランにも毎年、修正が加えられている。つまり、北条プランは、定期的に作成するだけでなく、修正の蓄積や文部科学省による学習指導要領の改訂などに合わせて、絶えず改善されている。「プランが完成したときから、次のプランの模索が始まっているともいえます」と、次の「北条プランX」の作成を中心になって進める研究主任の石川康浩先生は説明する。
  改訂は次のような流れで進む。まず現代の課題、更に子どもが大人になるころの未来に求められる力を分析して教育理念を決め、それに基づいて教科の指導方針を立て、最終的に単元ごとの具体的な指導案に落とし込んでいく(図1)。その過程の特徴は、完成までに「公開研究会」を2回行い、各回で全教科の公開授業を実施して、作成中の北条プランに対して学外から広く意見を求めることだ。1回目の公開研究会は、その時点なりに考えた授業を行い、理念が正しいかを問う。2回目は最終案に基づいて練られた授業を行い、新しい北条プランは適切かを問う。
  「本校にとって、公開授業は成果の発表ではなく、プランを改善するための場であり、教師にとって研修の場となっています」(石川先生)
図1 「北条プラン」作成の流れ

図1
  04年10月には「北条プランX」の作成に向け、理念を提案する公開研究会が開催された。北条小学校のホームページでの告知や過去の来校者への案内状送付などで、延べ500人以上が来校。全国の小学校教師はもちろん、教育関係の研究者、保護者、教育学部の学生などが授業を見学し、数多くの意見が寄せられた。概ね理念への賛同が得られたため、現在は教科構想を進めている。

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