教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]千葉県館山市立北条小学校

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学年ごとに実践検証し指導力の向上と高水準の授業を実現

 「北条プラン」の遂行を支えているのは、「プラン実践検証サイクル」システム(図2)だ。北条小学校では、学年担任で組織する「学年会」の教師が教科を分担し、担当教科の指導案をつくる。指導案は学年会で検討され、基本的にどのクラスも同じ方法で授業が行われるようになっている。そして、再び学年会で反省点や改善点を洗い出し、それらを資料としてまとめてカリキュラム管理室(写真1)に保管、翌年の授業の改善につなげている。
  「指導案はすべて学年会で練り上げますから、教師たちは皆、授業の立案者であり、実践者となります。授業がほかのクラスでうまくいったのかは気になりますし、自分の授業の成果や失敗をほかの先生に伝えようという気持ちにもなるので、改善につながりやすいのです」(石川先生)

図2 「プラン実践検証サイクル」システム

図2
写真1
写真1 カリキュラム管理室には学年・教科・月別につくられた660の棚があり、歴代の先生の指導案が蓄積されている。年間の指導計画を変更したときは、月ごとの指導内容に沿って、資料を再整理している
  ここで重要な役割を果たすのは、前述の「カリキュラム管理室」だ。40年ほど前に設置された部屋で、学年・教科・月ごとに分かれた660の棚には、指導案、教材、子どもの活動記録、教師の反省など、過去の授業の記録が収められている。教師は指導案をつくる際、この棚の資料で前年度までの指導法を確認する。自分の経験だけではなく、過去の実践をもとによりよい指導案をつくるための、いわば教師共有の財産だ。修正案記入のために「カリ管チェック」の日を設定し、確実に翌年の指導に生かせるようにしている。
  「これらのシステムは指導の高水準化にもつながり、大きなメリットがあります」と石川先生は強調する。
  「教師にも不得意な教科があります。前年度までの指導の記録があり、その教科を得意とする先生が指導案をつくった方が、より子どもに合った授業ができます。また、新任の先生でも、その指導案を使えば一定レベルの授業を行うことができますので、子どもの学力向上につながると考えています」(石川先生)


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