教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]千葉県館山市立北条小学校

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学年会や授業見学で得たアドバイスはすぐ授業に生かす

  実際には、どのようにサイクルを回しているのだろうか。2年生の国語を例に紹介する。
  担当の神澤賢先生は、まず1か月前にカリキュラム管理室から「2年生国語10月」の資料を取り出し、前年度までの指導内容を確認した。単元の目標は「大切なところを抜き出す」だ。神澤先生は、教科書の文章を虫食い状態にし、適切な言葉を選択肢から選びながら、大切な部分を考えさせる方法を、週1回行う学年会で提案した。前年度まで担当していた5年生では反応がよかった方法だった。すると、「この方法は2年生には難しいのではないか」という指摘があがった。検討の結果、大切な言葉やわからない言葉に線を引いて、言葉を抜き出すという方法に、その学年会の場で決まった。
  「私は2年生を受け持つのは初めてで、しかも専門は体育なので、学年会はよりよい指導をするために欠かせない場です」(神澤先生)
  この単元で、神澤先生は教科主任に授業を見てもらうことにした。北条小学校では教師同士の授業見学は日常的なことで、ときには他学年の教師にも声を掛け、授業を見てもらい、意見を求める(写真2)。できるだけ多くの人に見てもらうことで多様な意見が集まり、授業改善につながるという意識が根づいている。
写真2
写真2 先生がほかのクラスの授業を見学するのは、北条小学校では日常的な風景。子どもたちもそれに慣れている。神澤先生の授業には十数名の先生が見学に来ていたが、子どもたちは気おくれすることなく次々と発言していた
  1回目の授業後、神澤先生は教科主任から「授業のまとめにつくる絵本を図鑑にしてはどうか」と提案を受けた。絵本では文章の作成という手順も必要となるため、言葉を抜き出すだけでつくることができる図鑑の方が2年生には適切、という意見だった。神澤先生は、その内容を学年会で報告したうえで、次の時間から図鑑に切り替えた。
  「ほかの先生の中には絵本のままで進めるという人もいます。授業の方向性や教材は学年で統一していますが、細かい方法はクラスの実態に合わせて各自で工夫しています」(神澤先生)
  このように、日々の反省を即、次の授業の改善につなげていく。そして、単元が終わると指導過程を記録に残し、使用した教材とともにカリキュラム管理室の棚に戻している。


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