教育現場の挑戦 [学力向上の取り組み]千葉県館山市立北条小学校

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「統合学習」と教科学習をつなぐオープン学習

  北条小学校で指導の核となる、もう一つの要素は「統合学習」だ。これは、教科学習で得た内容が生活の場で生きて働く力となるように、子どもが自ら考えた企画を知識・技能を統合して実現させるという授業だ。77年から導入され、現在は「総合的な学習の時間」と生活科で行われている。
  最終目標は6年生で行う「マイプランタイム」を実践できるようになることだ。これは、「自分でやってみたいことや調べたいことを見つけ、自分で計画し、自分でやってみる時間」で、子どもの完全な自主的活動となっている。統合学習は、1年生から系統的なカリキュラムが組まれている(図3)。1年生は選択肢の中から選び、2年生では一定の範囲内から自由に選び……と、段階を追って徐々に自分で課題を決めて活動できるようになっている。
  「発表形式も、1年生の友だちに教える形から、6年生のプレゼンテーションまで、発達段階に合わせて工夫しています」(石川先生)
図3 統合学習の分類表

図3
  教科学習でも、自己決定の要素を取り入れた学習形態「オープン学習」を、学期に1~2回行っている。例えば、3年の算数では、「身近なもののかさをはかる」というオープン学習が行われた。子どもたちは、紙に書かれた問題に自分の好きな順番で取り組む(写真3)。気になる問題から始める子、取り組む人が少ない問題から始める子とさまざま。すべての問題に取り組む必要はなく、突き詰めて考えたければ、一つの問題だけに取り組んでもよい。こうした活動を積み重ねることによって、子どもたちは自分で選ぶという学習をし、主体的な行動へと結実していく。
  「日常生活にあるものを教材に使うことで、算数で習った知識を生活に結びつけて考える学習もできます。オープン学習には、統合学習と教科学習をつなぐ役割もあるのです」(石川先生)
写真3
写真3 算数のオープン学習の教材。問題を書いた紙と、マスやビーカーなどが教室のあちこちに置かれ、子どもたちは自分が興味を持った問題から取り組む。計算してわからない場合には、実際に計って答えを出すこともできる

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