特集 「学校力」を生み出す学校評価 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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評価項目を絞り込み学校の目標を簡潔に伝える

 学校づくりの方向性が定まったところで、小川校長は、児童・保護者・教師の三者を対象にした学校評価制度の導入を決めた。その評価に用いるアンケート用紙はいたってシンプル。それぞれを対象にした15問前後の質問と選択肢を並べ、最後に、改善すべき点を自由に記述できる小欄を設けている(図1)。小川校長は、その意図を次のように説明する。
  「学校評価はあくまでも学校づくりのための方法の一つで、それ自体が目的ではありません。あれもこれもと細かく尋ねずに、目標とする学校像にどれだけ到達できているかを尋ねる質問に絞り込みました。保護者に対しては、質問がシンプルなほど本校の目標が伝わりやすいという利点もあります」
  例えば、学校経営方針に対応する質問として、児童には「学校へ行くのは楽しい」「授業はわかりやすくて楽しい」かどうか尋ねる。保護者には「子どもは学校へ行くのが楽しいと言っている」「子どもは授業が楽しくわかりやすいと言っている」、教師には「子どもは毎日喜んで登校している」「子どもは授業がわかりやすくて楽しいと感じている」かどうかを尋ね、それぞれの視点から経営方針の到達度を比べられるようにしている。
  更に、教師の指導法を問うものとして、「学級では自分の話をみんなが一生懸命聞いてくれる」(児童対象)、「先生は子どもの発言に耳を傾け、一人ひとりを大切にした授業を心がけている」(保護者対象)、「子ども一人ひとりの個性や能力に応じた指導方法を工夫している」(教師対象)などを設けている。
  「児童に対する『学級は~』、保護者に対する『先生は~』という質問は、担任の指導法の評価に直結します。担任本人にとっては厳しいですが、子どもが充実感を得られる授業をつくっていくための貴重な資料になると考えています」(小川校長)
▼図1 保護者へのアンケート
図1
アンケートは無記名で、16項目を5段階で評価する。更に、学校への要望を自由に書き込めるスペースがある

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