特集 「学校力」を生み出す学校評価 ―幼稚園・保育園から小学校、その接続を考える―

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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年2回の評価で取り組みの成果を検証

 学校評価は1学期末(7月)と2学期末(12月)に実施する。教師は結果をもとに次学期以降の計画を作成したり、校長や教頭を交えた拡大学年会で話し合ったりする。そのうえで、改善策を次学期に実施する。小川校長は「年2回の実施により、評価の推移を観察できる」と話す。例えば、05年度2学期末の児童へのアンケートでは、1学期末に比べて15項目中、12項目の評価が上昇した。
  「1学期末の振り返りを経て、2学期はどの先生も更に工夫しながら実践しているなと感じていました。それが明確な数値として表れたので、取り組みは間違っていなかったという確信が得られました」(小川校長)
  一方で、児童の「授業はわかりやすく楽しい」「わからないことは先生に教えてもらえる」という項目は上昇したが、保護者への「先生は一人ひとりを大切にした授業を心がけている」という質問では、肯定的な回答が減少した。この結果を小川校長は、「保護者に具体的な授業内容を理解してもらうための手だてが少なかったため」と分析し、通知表の改善に取り組むことにした。
  学校評価では、保護者への“呼びかけ”も大切な要素だ(図2)。遅刻する児童が多いと感じた小川校長は、原因が夜型の生活にあると推測し、保護者への質問に「家庭では子どもに早寝・早起きをさせている」を入れた。更に10月、児童を対象とした生活習慣調査で「夜は何時ごろに寝ますか」と質問したところ、小川校長が理想とする22時よりも遅く寝る子どもが1年生で27%、6年生では77%に上ることも判明した。こうしたアンケート結果を用いて、保護者に睡眠の必要性を訴え、遅刻する児童を減らすことに成功している。
  「家庭のことにまで口を出すなというクレームも予想し、PTA会長に相談して、アンケートは会長との連名にしました。しかし、否定的な意見が一つも寄せられなかったばかりか、もっと睡眠について知りたいとの声があがり、2月には専門家の講演会を開催しました。家庭教育の重要性に対する保護者の理解は確実に深まっていると感じています」
▼図2 学校だよりでアンケート結果を報告
図2
定期的に発行している「岡山中央小学校だより」で、保護者へのアンケート結果を報告。2回目の結果を1回目の結果と比較して成果と課題を明確に示した

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