学びが深まるIT活用 IT活用で育つ表現力・集中力

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ITは人と人とのつながりを強くする

 横手小学校は、授業以外でも「スクールイントラパック」(前ページ実録e授業参照)を利用し、クラブの作品や児童会の報告をイントラ上に掲載している。また、休み時間には各教室に1台あるパソコンに集まって、子どもたちが操作する場面も見られるようになった。
  福岡市では市立小中学校のパソコンを段階的に入れ替える事業を行っており、横手小学校では05年度にパソコンと校内LANが整備された。これに伴い、ITサポーターの三坂さんが派遣され、IT活用促進の大きなきっかけとなった。ITサポーターを講師とし、校内研修会も企画された。
  当初は、授業でインターネットを活用したくても、情報がありすぎて、教師も子どもも何から始めればよいのかわからず、戸惑うことが多かった。しかし、ITサポーターが授業に必要な情報のリンク集を制作し、授業の準備段階からかかわるようになったことで、不安は解消された。パソコン操作に煩わされることなく、教師が教師らしい仕事に専念できるようになったのだ。
  研究指定校として多忙な業務を抱える横手小学校では、以前はIT活用にまで手が回らなかったことが確かにあった。しかし今では、積極的にITを授業に取り入れる先生が増え、パソコン教室の使用率は以前と比べて高くなっている。また、キーボード入力などのパソコン操作に慣れていない子どもが多かったが、ITサポーターとのチームティーチングできめ細かい対応ができるようになり、子どものパソコン操作の技術は急速に上達している。
  「ITサポーターがいれば、わからなくて手を挙げた子どもがいても、2人で手分けしてすぐに対応できます。このメリットは大きいですね」(尾形先生)
  IT活用が格段に進んだ横手小学校だが、同時に課題も見えてきた。IT活用の年間計画を立ててはいるものの、まだ担任の裁量に任されている部分が多い点だ。今後は組織的な取り組みを強化していくと、八尋教頭は話す。
  「以前は、一斉授業が多く、授業では受け身になりがちでした。しかし今では、子どもたちが自分から働きかけることが求められます。そのための道具として、ITの活用を進めていきたいと考えています。ただし、ITで調べた場所に実際に行ってみたり、調べたことを自分の手で試してみたりすることも大切です。そこから新たな人と人との結びつきが生まれていくでしょう。最近は、異学年の子どもたちの結びつきが弱くなっていますが、ITを通じたやりとりがそれをカバーし、そこに人とのつながりを強くする可能性があると思います」
IT活用の成功ポイント
point 1 発表したいという意欲を表現する力へつなぐ
子ども自身にテーマ選びをさせ、地域の人と交流を図ることで「地域のよさや接した人々をより多くの人に紹介したい」という意欲を持たせる
point 2 ITを活用して発表の対象を広げる
他校との交流サイトを構築して発表する機会を設定することで、子どもたちの目的意識、相手意識を明確化。意欲が強まり、主体的に学ぶようになる

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