第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例2]東京都 足立区立鹿浜小学校


School Data

東京都 足立区立鹿浜小学校

1874年開校。学年担任制や、学校改善を図るための5つのプロジェクトチームなど、先進的な取り組みを積極的に取り入れる。学校図書館の蔵書のデータベース化をはじめ、読書活動にも力を注ぎ、2005年度に文部科学省読書活動優秀実践校として表彰を受けた。

水野朝之

校長 水野朝之先生

児童数: 398人

学級数: 12学級

TEL: 03-3899-1136

FAX: 03-3899-1137

所在地: 〒123-0864
東京都足立区鹿浜4-20-22

URL: http://www.adachi.
ne.jp/users/adsika/

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例 2】

東京都 足立区立鹿浜小学校

調査結果を全員で分析・共有し学校改革に取り組む

全教師が学力調査の結果を分析し、
それを全員参加の「五つのプロジェクト」によって
学校改革に活用している鹿浜小学校。教師が一丸となることで
大きな推進力を生み出している鹿浜小学校の取り組みをレポートする。

一年交代の学年担任制で指導や評価の規準統一を図る

 鹿浜小学校では水野朝之校長が赴任した2004年度以降、指導や評価の規準統一に向け、学年担任制導入を柱にした改革を進めている。水野校長は狙いを次のように説明する。
  「児童の学力を保障するためには、『こんな力をつけたいから、こんな指導や評価をしよう』という規準が、教師の間で統一されていなければなりません。しかし、現実には授業の進め方や評価の規準、生活指導、宿題の出し方など、さまざまな面で教師間の差が生じています。その差をなくすために、『学年担任制』を導入したのです」
  学年担任制は、複数の教師が協力して学年全体の担任となるシステムだ。鹿浜小学校では、各学年にクラス数と同数の教師を配置し、A先生は国語と理科、B先生は算数と社会というように、教科ごとに分担して授業を受け持つ。各クラスの生活指導や朝の会、帰りの会などは、一定期間ごとに交代しながらクラスを担当する。つまり、複数の教師が学年全体を1年間指導するのだ。
  このシステムを維持するためには、指導や評価の規準に食い違いがあってはならない。必然的に教師の意識が高まっていき、教師間で情報が共有されるようになり、規準の統一化が進んだ。
  更に、鹿浜小学校ではクラス替えを毎年行い、学年担任も入れ替えている。以前は、2年ごとにクラス替えを行い、担任も2年間同じという一般的なスタイルだった。しかし、それが教師によって学習進度の差が生じる原因になっていたと水野校長は指摘する。
  「2年間担任することがわかっていると、『授業で多少やり残しがあっても、次の年度でカバーすればよい』という意識がどうしても生まれやすくなります。それが、結果的に学習の遅れにつながっていたのです」
  担任の期間が1年間に限定されていれば、次年度に授業を持ち越すことはできず、やり残しは許されない。教師に今まで以上の責任感が芽生えたことで、年度内で指導が完結するようになったと水野校長は言う。
  こうした一連の改革により、教師の間に規準を大切にしようとする姿勢が根付き、学級や学年の枠を越えて協力しようとする意識も浸透した。そして指導と評価規準がうまく機能しているかをはかるものさしとして、学力調査の活用を考えるようになった。学力調査の結果を客観的に受け止め、教師一丸となって対策に取り組む態勢が整った。
●05年度の学力調査の受検状況
実施主体/ 足立区
実施時期/ 4月
対象学年/ 2~6年生
対象教科/ 国・算・学習意識調査

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