第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例2]東京都 足立区立鹿浜小学校
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学習サポートカードで調査結果や日々の指導を蓄積

 評価改善プロジェクトによって導入された取り組みの中で、最も特徴的なものは「学習サポートカード」(図2)だ。学力調査や日々の指導を通して明らかになった児童の課題と具体的な対応を、一人1枚のカードに記録するというものだ。例えば、「課題」の欄には「主語・述語が未定着(5月10日)」、「対応」には「補充教室で補充指導を実施(5回)」などと書き込まれる。児童がどのような課題を抱え、どのように解決してきたのかが時系列で記録されているので、新年度に引き継いだ新しい担任は、児童の状況をつかみやすくなる。カードは卒業まで継続して記入される。
  「以前は児童一人ひとりの情報を学校全体で共有するのが難しく、担任が変われば一からスタートせざるをえませんでした。そのため、これまでは課題を十分に克服できないまま次の担任に引き継ぐ、ということの繰り返しでした。学習サポートカードは単純な仕組みですが、一人ひとりの課題が一目でわかり、新担任への引き継ぎがスムーズになりました」(水野校長)
▼図2 学習サポートカード
図2
学力調査や日々の指導から明らかになった各教科の課題、および具体的な対応を時系列で記入する。卒業まで保存し、課題克服の経緯の把握に役立てる
  更に鹿浜小学校は、より効果的に課題を克服するには保護者の協力が重要と考え、教師、児童、そして保護者の三者が課題を共有するための「学習支援カード」も導入した(図3)。まず、7月の三者面談で教師、児童、保護者の三者が確認し合い、課題をカードに記入する。次に「補充教室に参加する」「復習問題集に取り組む」など具体的な対策を話し合い、その場でカードに書き込んでいく。
  「3人が机を囲んで話し合い、『こんな対策に取り組もう』と約束し、その場で教師が記入するところを実際に見せる。このプロセスは児童や保護者に強い印象を残し、課題の克服に向けた意識を大いに高めます」と、水野校長は「その場で記入する」ことの意味を強調する。7月の三者面談で記入した対策の実行状況は、次回の二者面談(保護者面談)の12月までに教師が記入し、面談では達成状況を踏まえ、新たな課題について話し合う。
▼図3 学習支援カード
図3
学習面および生活面の課題、具体的な対策、成果を書き込む。面談時に記入することで、保護者や児童の意識を高めることができる。新しい担任への引き継ぎの材料にもなる
  また、7月と12月の面談では長期休業中の学習についても話し合うため、学習支援カードには長期休業中の家庭学習の内容や、補充教室への参加の有無を書き込む欄がある。これも、子どもと保護者の目の前で教師が記入し、学習への意識付けに役立てている。
  学習支援カードも、学習サポートカードと同様に、卒業まで継続していく方針だ。

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