第2部 学力調査を活用した実践事例 [事例2]東京都 足立区立鹿浜小学校
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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調査結果の公表を保護者との連携に活用

 また、学習支援プロジェクトでは、家庭学習や基本的な学習態度の定着を目指し、家庭に配付する「家庭学習の手引き」の内容も充実させた(図4)。全8ページの冊子には、「学習の仕方の目標」を学年ごとに細かく設定し、家庭学習の進め方、計画表などを盛り込み、保護者に協力を呼びかける。
▼図4 家庭学習の手引き(一部)

図4
家庭での指導に役立てられる「家庭学習の手引き」の一部。学年ごとに目標が細かく設定されており、新任の教師も活用している
■参考資料:「家庭学習の手引き」(全8ページ)[PDFファイル(2.9MB)]
  保護者と連携するための材料として、水野校長は学力調査の結果も重視する。足立区ではホームページで各校の平均到達度を教科別に公表しており、鹿浜小学校ではそれを保護者へのアピールとして積極的に活用したいと話す。
  「ときには厳しく課題を提示しますし、宿題の量が増えると喜ばない保護者もいます。しかし、学力調査の結果が向上すれば、『頑張った分だけ、効果が表れましたよ』と胸を張って説明できる。それは保護者との極めて密接な信頼関係につながると思います」
  児童に対しても同じことが言える、と水野校長は続ける。
  「学力調査の点数が上がれば、当然、『もっと頑張ってみよう』『もっとわかるようになりたい』といった意欲が生まれます。頑張った結果が数値に表れ、更にレベルの高い学習に取り組んでいくという『プラスサイクル』()の起点として学力調査を位置づけています」
  教師にとっても、学力調査の結果は1年間の指導の評価であり、自己改善のための不可欠な材料になると水野校長は語る。
  学力調査を軸にして、教師や児童、保護者が課題を共有し、その成果を分かち合う鹿浜小学校の取り組みは、まだスタートを切ったばかり。その成果は、どのような数値として表れてくるのだろうか。今後の展開に注目したい。
)鹿浜小学校が目指す学力のイメージのこと。理解できたことで更に学習したくなるサイクルのことを示す

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