この数年の間に授業形態は多様化が進み、少人数や習熟度別授業を多くの学校が取り入れるようになった。それに教育現場はどう対応してきたのだろうか。今号は、29年前から積極的に個別指導を取り入れてきた愛知県東浦町立緒川(おがわ)小学校の事例を紹介する。
子どもたちの個性や主体性を重視した「総合的な学習の時間」(以下、「総合学習」)の導入によって、学習の場が教室外にも広がり、グループ学習や個別学習も促進された。また、02年度以降は、国の学力向上施策を受け、一人ひとりの学習に重点を置いた少人数授業や習熟度別授業も急速に広がった。 こうした新しい授業形態について、小学生の子どもたちはどのように感じているのだろうか。 図1は、「総合学習」についての考えを尋ねた結果である。「ふだん体験できないようなことが体験できる」「いろいろな人と話をしたり、活動したりできる」などの質問で7割以上の子どもが「そう思う」と回答している。子どもたちが学習の場面や方法の広がりを実感していることがわかる。一方で、「国語や算数など教科の授業をやった方がよい」「自分の興味・関心のある内容とは異なることが多い」と感じている子どもも半数近くいた。