教育現場の挑戦 変化している授業形態

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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児童の学力に応じ指導法を検討する「指導の個別化」

 「指導の個別化」を図る代表的な実践を紹介したい。
  まず注目したいのが、全校を挙げて取り組んでいる「はげみ学習」だ。これは、国語と算数の基礎・基本の定着を図るもので、自分の進度に応じて検定(小テスト)に取り組み、合格したら次のステップに進むという流れになっている。
  「文字のはげみ」(国語)は89ステップ、「数のはげみ」(算数)は83ステップが設けられ、児童は学年にとらわれずに6年間を通じてステップを積み上げていく。
  「ステップが細かく分かれているので、児童がどの段階でつまずいているのかが一目瞭然となり、課題を克服しやすいという特徴があります。目標がはっきりしているので、児童もやる気が出やすいようです」(青木先生)
  高学年の児童たちに「はげみ学習」の感想を聞くと、「だんだんステップが上がっていくのが楽しい」「どんどん挑戦していきたい」などと、意欲的な声が返ってきた。中には、早く次に進もうと検定の置かれた棚に走り寄る児童の姿も見られた(写真2)。
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写真2 自分のステップに合った検定を探す児童。進度の速い子の中には2つ上の学年の学習に入る児童もいる
  上の学年の学習内容に挑戦していく児童がいる一方、逆に下の学年の学習内容からなかなか次に進めない児童もいる。そうした児童への手立ても適切にできるよう、「はげみ学習」の時間では教師全員でチーム・ティーチングを行い、検定を採点しながら助言をしたり、問題を解けない児童が個別指導を受けられる「講座コーナー」を設けたりしている(写真3)。児童にとっては、普段話すことのない他学年の教師の指導を受けられるよい機会にもなっている。
写真3
写真3 「はげみ学習」の検定を添削する教師。添削時に個々の定着度に合わせた指導も行う
  緒川小学校では算数で習熟度別学習を取り入れて、児童のつまずきに応じようとする「マスタリー・ラーニング」を、学期に1回程度実施している(1回につき3単位時間ほど)。この「マスタリー・ラーニング」は、単元の学習の途中から習熟度別にグループをつくり、指導を行っていることが大きな特徴だ。
  「例えば、小数÷小数を解けない児童たちの中でも、『余りを出せない』『四捨五入ができない』など、つまずきの要因はそれぞれ異なります。要因ごとにグループを分け、チーム・ティーチングによって集中的に課題を克服するのです」
  その間、理解できた児童には自学自習をさせて更なるレベルアップを促し、習熟度別授業によってつまずきを克服できた児童は、随時、自習グループに入っていくようになっている。

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