地方分権時代の教育行政 福岡県北九州市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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今後の課題は高学年向けプログラム

 「小さな国際人」育成事業がスタートした00年度当初から、小倉中央小学校は市内の四つのモデル校のうちの1校に指定されている。その背景には、98年度に文部科学省から「国際化推進地域センター校」に指定され、帰国・外国人の子どもを大勢受け入れてきたという実績がある。現在、小倉中央小学校に通うこれらの子どもは23人にも上る。
  そうした特徴を生かし、小倉中央小学校は週1回、15分間の朝自習の時間を「ワールドタイム」に設定している。これは、英語の歌を毎月1曲選び、朝の放送に合わせて子どもたちが歌うという取り組みだ。3年生以上は、歌のあとの残りの時間で英会話体験学習の復習などを行っている。
  「総合学習」のうち20時間が英会話体験の授業だが、これに加えて各学年で特別活動の時間などを使って、海外事情を説明したVTRを見るなどの活動を行っている。その結果、小倉中央小学校の児童たちは、年間40~50時間は国際理解教育を中心にした授業を受けている。
  これらの取り組みを続けている小倉中央小学校の子どもたちは、外国人と接することに抵抗を感じなくなっていると、白川峯生校長は話す。
  「ALTが来ると、子どもたちは積極的にかかわろうとします。『総合学習』では、子どもたちが街に出て外国人にインタビューしたことがあります。そんなときでも、物怖じせず話しかけられる子どもが増えているように感じました。本市ではALTが毎年交代しますが、それがさまざまな国の文化と接するよいきっかけにもなっています。子どものころからいろいろな国のALTと出会い、人間同士の付き合いができるのは素晴らしいことです」
  今後の課題は、高学年向けのプログラムの充実だ。例えば、中学年なら興味を持って取り組むゲームでも、高学年になると乗ってこないケースがある。子どもの関心に合わせてプログラムをアレンジすると共に、現場の意見を市教委にフィードバックしていく考えだ。
  「英会話体験学習には、保護者からも高い評価をいただいています。授業内容を更に充実させ、国際人としての素地を育てていきたいと考えています」(上野先生)


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