みんなで取り組む小学校英語
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ウェブコンテンツに発音は任せる

 国際理解教室で行われた川村先生の英会話活動(6年生)のテーマは「注文をしよう・ファーストフード編」。店員と客のやりとりを英語で行う。英語での挨拶と前回の復習をしたあと、川村先生はモニターの前に子どもを集め、パソコンを操作して学習内容に該当するスキットを再生。スキットの所々で一時停止し、発音の練習をさせる(写真2)。
  「ネイティブの発音は私たちにはできないので、ウェブコンテンツに任せています
  その後、川村先生と子ども、子ども同士がペアになり、店員と客の会話を練習して「買い物ゲーム」をした。これは、模擬紙幣を使い、絵カードのハンバーガーやドリンクなどを購入するゲームだ。子どもは店員と客に分かれ、スキットで学んだ「How much?」などのフレーズを使い、楽しそうに注文を始めた。
  「ウェブコンテンツで学ぶだけでは単なる勉強になってしまうし、ゲームだけでは遊びに終わってしまう。その両方をバランスよく取り入れることで、興味や関心を引き出しつつ学ばせることができます」(川村先生)
  学んだ内容を定着させるために、活動の最後には日本語で振り返りをさせている。この日は、「英語で買い物するときは、客も『Thank you』『Please』を使う。これから買い物するときには、日本語でもそういう言葉を使いたい」と、英語にとどまらない、コミュニケーションの大切さに気づいた子どももいた。
  一方、コンピュータ室で行われた小宮武士先生の6年生の学級では、この日、市内の小学校を結ぶテレビ会議システムを使い、他校の5年生とヒントゲームをした(写真3)。英語で伝える3つのヒントから答えを連想し、当てるゲームだ。子どもはゲームで使う単語やフレーズをウェブコンテンツで練習してから本番に臨んだ。初めは緊張した雰囲気だったが、両校の子どもからは次第に笑いが飛び出し、ゲームはなごやかに進んでいった。
  「この活動での子どもの意識は普段の授業と全く違います。モニターを通して相手に的確に伝えるには、発音やジェスチャーをどうすればよいか。5年生でもわかる単語やフレーズを使っているか。問題の内容は難しすぎないか。それらを考えさせることがコミュニケーション能力の育成にもなります」(小宮先生)
  明治小学校の活動は、教材の上手な活用により、担任の英語力に左右されず、子どもを楽しく学ばせることができる好例といえるだろう。
写真2
写真2 ネイティブの会話に続き、子どもが発音する。家庭のパソコンでも見られるので復習に使う子も多い
写真3
写真3 テレビ会議システムを使った6年生の活動。モニターを介してヒントをわかりやすく伝えようと、子どものジェスチャーは普段よりも大きくなっていた

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