教育現場の挑戦 約30年の「総合学習」の研究を教科学習の指導法に生かす

新潟県 上越市立大手町小学校

新潟県 上越市立大手町小学校

1873(明治6)年開校。校区は高田城の城下町として発展した地域。1977年から「総合学習」の研究をスタートし、現在も教育活動の中核としている。06年度から3年間、文部科学省から3回目の研究開発学校の指定を受ける。

校長●中嶋浩先生

児童数●370名

学級数●13学級(うち特別支援学級1学級)

所在地●〒943-0838 新潟県上越市大手町2-20

TEL●025-524-6160

FAX●025-524-6169

URL●http://www.ohtemachi.
jorne.ed.jp/

公開研究等の予定●07年度の研究発表会実施は未定。年間14~15回の研究授業を行い、約半分の7~8回を一般公開。日程は決定後、大手町小学校ホームページに掲載。

中嶋浩

▲上越市立大手町小学校校長

中嶋浩
Nakajima Hiroshi
阿部勉

▲上越市立大手町小学校

阿部勉
Abe Tsutomu
教務主任。
猪田謙

▲上越市立大手町小学校

猪田謙
Inoda Ken
研究主任。
*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教育現場の挑戦

そのとき、子どもは、教師はどう変わったか

新潟県上越市立
大手町小学校

約30年の「総合学習」の研究を教科学習の指導法に生かす

実践のポイント
Point1 「総合学習」の体験と教科学習の知識を融合させる
Point2 「総合学習」の指導法を教科学習に応用する
Point3 指導技術よりも、学力観や子ども観の共有に努める

5つの資質・能力をすべての教育活動で育成

 大手町小学校は、「総合学習」を中核に据えた研究活動を30年近くも続けている。そのきっかけは、1976年に文部省(当時)が研究開発学校を初めて制度化して間もなく、その指定を受けたことだ。中嶋浩校長は、研究開発学校に指定されて3年目の80年に、大手町小学校に一教師として赴任した。
  「当時の校長は『何をしてもいい。教育はクリエイティブなものであり、型にはまってはいけない。自由にアイデアを出せ』と、皆に言っていました。それまで研究といえば教科学力の向上しか頭になかった私は、その言葉を聞いて目から鱗(うろこ)が落ちる思いでした」
  研究の中心を総合学習に決めた経緯については、こう振り返る。
  「本来、子どもは『学びたい』『できるようになりたい』という願望をもっています。それを表に出す子どももいれば、眠らせてしまっている子どももいます。すべての子どもからそんな願望を引き出すには、従来の教科学習とは異なる、体験型の学習が不可欠という考えに至ったのです」
  そして、「(現在の『総合的な学習の時間』に発展する)『生活活動』の創設」「低学年の理科と社会を廃止して『生活活動』に組み入れる」などの抜本的な改革を進めた。以後も文部省の指定を繰り返し受け、生活科や確かな学力の研究を推進。06年度からは研究開発学校としては3回目の指定を受け、「人間力をはぐくむ教育課程の創造」をテーマに研究を進めている。
  現在の教育活動のグランドデザインは、図1の通りだ。生活科を発展的に統合し「総合的な学習の時間」を全学年に拡大する「総合学習」、道徳と特別活動を統合した「ふれあい」、「教科学習」の3つの領域によって、「人間力」の育成を目指している。
  その人間力の構成要素として分類・整理したものが「創造的探求心」「内省的思考力」「コミュニケーション能力」「情報活用能力」「共生的な態度」という5つの資質・能力だ。大手町小学校では、この5つの資質・能力を、すべての教育活動の中で意識的に育成している。また、保護者の理解を促すために、5つの資質・能力に関するわかりやすい説明を添えた上で、通知表に総合学習に関する所見欄を設けている(図2)。

図1
図2

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