授業研究の導入に当たっては、客観的な事実や状況の把握を重視してください。そのためには、日々の授業記録は欠かせません。教師は頭の中の記録から直感的に改善の方法を考えることが多いのですが、その記録を文字にしたり、それをほかの教師と共有したりすれば、より良いアイデアが生まれるはずです。
具体的には、日記風に実践記録を書き留めてはいかがでしょうか。ある子どもの表情が気になった、発問に対する反応が悪かったなど、感想ではなく、気になった事実だけを記述するのです。それを一定期間が経過してから見直せば、同じ問題が繰り返されていることなどに気づき、課題が明確になるでしょう。それを基に、ほかの教師にアドバイスを求めれば、インフォーマルな研修へと発展させられるかもしれません。授業をビデオで撮影する方法は、自分で見直すにしても、ほかの教師に見てもらうにしても、有効な方法です。
更に、課題に対して的確なアドバイスができる研究者や指導主事などの外部講師を迎え入れることも、研修のきっかけになります。外部からの視点は、学校の内部では当たり前と思われていることを揺さぶって、全く異なる発想をもたらすことも少なくありません。
繰り返しですが、授業研究を堅苦しく考える必要はありません。「形」ではなく、「実」を取ることを重視しましょう。打ち上げ花火のような派手な研究ではなく、現状から地道に積み上げることが大切です。それが教師一人ひとりのキャリア向上につながるでしょう。
授業研究にはさまざまな方法がありますが、万能なものはありません。教師の年齢構成や集団の結び付きの強弱、問題共有の度合いなどによって、適切な研究方法は異なります。それぞれの学校が抱える課題に最適な授業研究を模索し、無理なく継続していただきたいと思います。
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