模擬授業の流れは、次の通りだ。
まず、若手や中堅の教師の中から授業を行う教師を選び、教科と単元を決定する。授業を行う教師は、外部の講師(該当教科に詳しい元教師や現職教師など)を1名選び、簡潔な指導案を作成してアドバイスを求める。そして、教務主任の酒向先生も加わり、指導案と授業の流れを示した台本を作る。
模擬授業は、研究授業の事前検討という位置付けだ。そのため、研究対象になっている授業の導入部や核になる時間帯など、10~15分間の場面を2つ抜き出して行う。
研修としての実効性を高めるための工夫の一つは、教師2名が抽出児役を担当することだ。担当教師と酒向先生が予想した児童の言葉を、その2名に模擬授業で発言してもらい、周りがどのように反応するかを探る。自然な反応を引き出すために、ほかの教師には抽出児役の教師を知らせない。
もう一つの工夫は、教師を困らせる子ども役の設定だ。その役となった教師は、授業を乱したり、流れを止めたり、起こり得る範囲で授業を滞らせる。この役がだれかも、授業者を含めてほかの教師は知らない。
模擬授業に参加する教師には、事前に指導案は渡されない。「最終的にこういう流れに落ち着かせればよいのか」「こういう発言をすればよいのか」といった先入観を持たせずに、本番に近い流れを演出するためだ。
指導案は、模擬授業後の事後検討会で、初めて配付される。そこでの検討を基に、再度、部会による事前検討会が行われて指導案の最終版が作成され、本番を迎えるという流れだ。 |