教師がつながる「授業研究」

 


VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「抽出児」を中心として授業の展開案を議論

 研究授業の参観者は、座席表をどのように活用しているのだろうか。
  「研究授業の事前検討会では、担当教師が単元構想と本時の展開案を説明した上で、ほかの教師と共に授業の組み立てを検討します。その際、担当以外の教師もどのような児童がいるのかをわかっていなければ、話し合いは深まりません。そこで、座席表の情報が重要になるわけです」(酒向先生)
  事前検討会では、2名の「抽出児」を決めることが議論の中心になる。抽出児とは、研究授業の時間に核となる発言や反応を示すと予想される児童のことだ。

 「能力が高く、授業を引っ張る児童がいつも抽出児に選ばれるわけではありません。理解度は不足していても、その単元に強い興味を持っている子、あるいは、ほかの児童の関心を引き出す言動が期待される子などが選ばれるケースもよくあります」(酒向先生)

 抽出児に選んだ児童は、座席表に「抽出児」と明記され、どのように授業を動かすかという予想が指導案に詳しく記入される(図3)。更に、抽出児がほかのどの児童に対して同調や対立を示し、それがどのように授業を展開させるのかという予想も事前検討会で話し合い、座席表に矢印で表される。

 「こうしたプロセスを踏むことで、参観者は授業を外から眺めるのではなく、共につくり上げているという意識を強めていきます」(酒向先生)  本時では、2名の記録係が、抽出児の発言やつぶやき、動き、表情、ほかの児童とのかかわりなどを細かく記録する(図4)。事後検討会では、その記録を基に抽出児の様子を中心に授業を振り返る。

 「事前検討会の予想通りに授業は展開したのか。予想と異なっていたら、何が原因で、どのように展開したか。事後検討会は、事前検討会での予想を検証しながら、よりよい指導にするためにはどうすればよいかを話し合います。参観者も授業に深くかかわっているため、議論は大いに盛り上がります」(酒向先生)

 座席表に書かれた情報は、担任以外の教師が児童の生活面を知る上でも役立つ。日頃のちょっとした声かけや対応に生かされる場面がよくあるという。

図1

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