教師がつながる「授業研究」
愛知県 新城市立新城小学校

愛知県 新城市立新城小学校

1887(明治20)年に開校し、2007年度には120周年を迎える伝統校。1983年から「個を確立する授業」の自主研究を続け、04年にそのあゆみを総括した。「表現力の向上」も教育目標に掲げ、特に俳句の教育に力を入れる。

校長●原田純一先生

児童数●471名

学級数●17学級(うち特別支援学級2学級)

所在地●〒441-1384 愛知県新城市西入船76

TEL●0536-22-0112

FAX●0536-22-0113

WEB PAGE●http://academic2.plala.or.jp
/shinsyo/


原田純一

▲新城市立新城小学校校長

原田純一
Harada Junichi

酒向隆行

▲新城市立新城小学校

酒向隆行
Sakou Takayuki
教務主任

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例1】

座席表の活用と模擬授業で
子ども目線の授業研究を実施

愛知県 新城(しんしろ)市立新城小学校

新城小学校の研修体制を特徴付けているのは、長年の研究の賜物である「座席表」の活用と、新たに導入した「模擬授業」だ。こうした研究は、授業づくりにどのような効果をもたらしているのだろうか。

図
Point 1

座席表の活用

座席表作りを通して子ども一人ひとりを見つめる

  新城小学校は、2004年度に22年間続けてきた「個を確立する授業」をテーマにした自主研究を総括し、05年度に「表現力の向上」を目標に掲げて新たなスタートを切った。
  同時に、より一層の研究の推進を目指し、研修体制も見直した。従来は、低・中・高学年部会ごとの授業研究を中心に研修をしていたが、「全員参加の研修によって得られるものは大きい」という原田純一校長の考えから、年2回、「模擬授業」「授業研究」を組み合わせた全体研修を新たに導入した(図1)。この新体制は07年度で3年目を迎え、「低学年、あるいは高学年ばかり受け持っていた教師が他学年の授業をじっくり見ることで、子どもへの接し方の幅が広がっている」(原田校長)と、徐々に変化が表れている。
  部会研修および全体研修の成果を深める上で新城小学校が重視するのは、座席表(図2)の活用だ。研究授業の担当教師は「単元の指導案」「本時指導案」と共に、児童の座席表を事前検討会までに準備し、参観する教師に配付する。そこには、新城小学校が長年の研究で培ってきた、子どもの個性を引き出すための工夫が詰まっている。
  座席表は、児童の座席順にマス目が並んでいるものだ。児童1名当たりのマス目は2段に分かれ、上段には性格や能力などを担任が書き込む。新城小学校の教師は、日頃から「カルテ」と呼ばれるノートに、児童の言動や生活態度を書き留めている。こうした継続的な観察が、児童の特徴を簡潔に表現するのに大いに役立っている。一方、下段には最近の授業中の様子から、研究授業の時間に予想される言葉や反応を記入する。
  この座席表は、担当教師、参観者の双方にとって大きな意味がある。まず、担当教師にとっては、子どもに合った授業を展開する手助けになると、原田校長は説明する。
  「座席表を作ることで、子どもの個性や能力差を意識し、授業中の言動も予想できます。特に、子ども一人ひとりを見つめる余裕がなく、授業を成立させることに精一杯の若手教師ほど、大きな効果があります」
  教務主任の酒向隆行先生は、「記入には時間がかかりますが、それに見合う効果があります」と、座席表のメリットを次のように話す。
  「単元の構想や授業の展開は、子どもの様子に応じて柔軟にアレンジするものです。座席表を通して子どもを見つめることで、単元や授業のどこに山場や曲がり角を設定すればよいかがわかってきます」
  更に、座席表には「記録」としての側面もある。それが通知表の所見欄の記入などの際に大いに役立つという。

図1

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