教師がつながる「授業研究」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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Point 2

少人数グループで議論

大規模校だからこそ少人数で話し合う場が必要
 もう一つの課題だった若手教師の姿勢はどう変化したのか。津田校長はこう語る。
  「先輩教師に意見を伝えるにも、皆の前で挙手して発言するのと、少人数のグループ内で付箋に書くのとでは、後者の方がハードルが低い。ワークショップ型により、若手教師も意見を言いやすい環境が整いつつあります
  グループ内での意見交換を活性化するには、メンバー構成も重要だ。若手だけが集まれば議論の深まりに欠け、逆にベテランばかりでは柔軟性に乏しくなりやすいからだ。そのため、経験年数を考慮して、毎回メンバーは変えている。その背景には森の台小学校が抱える別の事情もあると、主幹教諭の川井伸司先生は話す。
  「児童数が千名近い本校は教師も40名以上いて、あまり交流がない教師も少なくありません。少人数で議論するワークショップは、『この先生はこのような態度で子どもに接しているのか』『教材作りのアイデアが豊富だ。今度、相談してみよう』などと、互いを理解し合う絶好の機会にもなっています」
  一方、ワークショップ型の難しさも感じている。導入当初は、付箋が「課題」を指摘するエリアに偏っているのが一目瞭然になってしまうため、「頑張ったのに評価されない」とやる気をなくしてしまう教師もいた。
  「先生方はより良いものを求めようと、どんなに見事な授業でも『もっと良くするためには?』という視点で評価しがちです。課題が多く提示されるのは、ある程度仕方のないことでしょう。しかし、授業を見る目が養われれば、自然とプラス評価も増えていきます」
  実際、3学期になると、良さと課題の付箋の割合はほぼ同じになったという。
  07年度には、これまで年間1名当たり1回だった研究授業を5回に増やした。一方で、教師の負担を減らすため、研究授業用に作成していた指導案をなくし、担当教師が口頭で授業の意図を説明すればよいこととした
  「本来、授業研究の狙いは日々の授業を改善することです。授業研究のときだけ指導案に時間をかけて特別な授業をしても、意味はありません。普段通りの授業を見せ、それに対して率直に意見を交わし合える場にしたいと思います」(津田校長)
  森の台小学校では、授業研究と同様のワークショップ型研修を学校運営にも取り入れている。06年度は、校長・主任クラスの教師でのワークショップを1回、教師全員が集まってのワークショップを2回行った。テーマの一つには、「働きやすい学校づくり」が取り上げられた。付箋を通じて意見を集めたところ、「本音が出せない」「認められているという実感がない」などと、コミュニケーションに関する課題が浮き彫りになったという。その改善策も、模造紙を活用して「着手容易/困難」「効果性が高い/低い」に分類している(写真3)。津田校長は、「従来の会議よりも、率直な意見が集まりました。継続することで学校が変わることを実感しています」と、取り組みの深まりに期待を寄せている。
写真3
写真3 「働きやすい学校づくり」のワークショップで作成されたシート。着手のしやすさ、効果の高さによって改善策を分類している

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