教師がつながる「授業研究」

キャサリン・C・ルイス

▲キャサリン・C・ルイス

Catherine C. Lewis
キャサリン・ルイス◎ハーバード大学卒業、スタンフォード大学大学院心理学博士課程修了。その後、ハーバード大学大学院で日本研究の第一人者として知られるエズラ・ボーゲル教授に師事。現在、ミルズ大学研究教授。日米の教育現場の調査・研究を30年間に渡って継続し、日本語にも堪能。初等教育や児童の発達をテーマとした著作物は40以上に上る。  

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【インタビュー2】

日本の先生たちは、自国の
授業研究に誇りを持ってほしい

アメリカ・ミルズ大学研究教授
キャサリン・C・ルイス

教師の多忙化などにより、授業研究の停滞が国内で危惧されている一方、海外では、日本の授業研究に対する評価が高まっている。日本の強みは、一体どこにあるのだろうか。日本の初等教育に詳しいキャサリン・ルイス研究教授に聞いた。

教師主導のアメリカと児童主体の日本

 私が日本の授業研究に関心を持つようになったきっかけからお話します。今から10年前に、4か月間ほど日本の小学校を見学する機会がありました。そのときに驚いたのが、どの先生の理科の授業も、学習内容を日常生活に結び付けて非常にわかりやすく教えていたことです。そのような高度な技術を持つ教師は、アメリカの普通の学校にはほとんどいません。そこで、「その指導法は、どこで身につけたのか」と聞くと、どの先生も「授業研究で学んだ」と口をそろえるのです。
  日本とアメリカとでは、算数の教え方も異なります。アメリカでは冒頭で解法を教えてから問題を解かせますが、日本では最初に問題を出し、「挑戦してみよう」と子どもに考えさせることから始めます。分数の足し算であれば、子どもは絵を描いたり紐(ひも)を使ったり、さまざまな方法でその概念を理解しようとします。更に、授業全体を通して子どもの意見を引き出す技術にも長(た)けています。こうした日本の授業が、各国の教育研究者に高く評価されているのは、当然といえるでしょう。

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