学びが深まるICT活用 研修で教師の苦手意識を克服しICTスキルの底上げを実現

福岡県 行橋市立行橋北小学校

福岡県 行橋市立行橋北小学校

行橋市の北部に位置する行橋北小学校は、1983年開校。自然に恵まれた環境の中、積極的で思いやりのある児童の育成を目指している。クラブ活動や「総合的な学習の時間」における鼓笛隊の活動が盛ん。市の行事などで活躍している。

校長●大村隆先生

児童数●360名

学級数●13学級(うち特別支援学級1学級)

所在地●〒824-0001 福岡県行橋市行事6-20-1

TEL●0930-24-7018

FAX●0930-24-6987

WEB PAGE●http://www.city.yukuhashi.
fukuoka.jp/kyouiku/y_kita-e/

大村 隆

▲行橋市立行橋北小学校校長

大村 隆
Omura Takashi
高橋寿人

▲行橋市立行橋北小学校

高橋寿人
Takahashi Hisato
教務主任
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学びが深まるICT活用

福岡県
行橋(ゆくはし)市立行橋北小学校

研修で教師の苦手意識を克服しICTスキルの底上げを実現

まとめて時間の取れる夏休みを利用しレベル別の講習を実施

  行橋北小学校では、2005年、ICT環境を一新し、パソコン教室に1人1台使用できる数のパソコンをそろえた。同時にベネッセコーポレーションのICTサポーター制度も導入して、07年で3年目を迎えた。
  現環境の導入当初は、教師間にスキルの差があることが大きな課題だった。元々パソコンが得意な教師が授業にどんどん取り入れる一方で、不得意な教師は敬遠するばかり。機器も十分に活用しきれていない状態だったという。
  しかし、丸2年が経過した今では、「総合的な学習の時間」を利用してパソコンのスキル教育を行い、社会や理科などの調べ学習でもインターネットを活用。全学年で、何らかの形でパソコンを使った授業を行えるようになった。
  この急速な進歩の原動力となったのは、06年度に教務主任の高橋寿人先生と、行橋北小学校担当のICTサポーター・上野景子さんとが協力し、企画・実施した研修だった。
  「学期中は授業の準備や校務などで、先生方はなかなか時間が取れません。私にも、日常的なトラブルに対応しているだけでは先生のスキルアップにつながるサポートにならない、という思いがありました。そこで、まとまった時間を取れる夏休みに、基礎から学べる機会を設けたいと考えました」(上野さん)
  研修の準備として、事前にアンケート(図1)を取り、教師の要望をつかんでから、レベル別に講座を開いた。
  各講座は1回30分~1時間。4回に分けたきめ細かな内容が、特にパソコンに不慣れな教師に好評だった(図2)。
  「特に年配の先生は、パソコンのどこから手をつけたらよいかもわかりません。それに加えて『今更だれにも聞けない』という気持ちもあります。しかし、研修で基礎を習い『自分でもできる』とわかった途端、ずいぶん抵抗感がなくなったのです」(高橋先生)
  研修後は、教師から上野さんへの要望や質問が増えたという。そして、今まで以上に多くの教師が、積極的にパソコンを授業に取り入れるようになった。
  「一般的なパソコンのインストラクターの場合、操作に関する研修をしたら終わりですが、ICTサポーターは定期的に来校し、授業の準備や授業の組み立てまで支援してくれるので、学校も体制を整えやすいですね」(大村隆校長)
  ハードだけ整っても、教師にノウハウがなければ活用には至らず、この段階で頓挫(とんざ)してしまうこともある。しかし、行橋北小学校では、ICTサポーターとの連携によって教師のパソコンのスキルを底上げし、苦手意識を解消できたことで、活用が促された。ICTサポーターのような専任のインストラクターがいない学校も多いが、パソコンに習熟した教師が簡単な研修をするだけでも、校内のICT活用が促進される可能性は十分にありそうだ。

図1

図2


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