学びが深まるICT活用 研修で教師の苦手意識を克服しICTスキルの底上げを実現

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ICT活用と手作業を組み合わせ知識の定着を図る

 行橋北小学校では、教科学習でパソコンを活用する場面が徐々に増えている。中でも有効なのが、教材の提示と調べ学習の場面だという。
  例えば、算数の「長さの測定」についての授業では、子どもに人気のあるアニメキャラクターの絵を、スキャナーを使ってパソコンに取り込み、実物大にプリントして、測定対象として使った。
  「教材に子どもの好きなものを使うことによって、興味を喚起できます。以前は授業で絵を使いたければ、自分で描くしかありませんでしたが、サイズが大きくなると準備にかなりの手間がかかります。それが、スキャナーを使うことで時間をかけずに用意ができるようになり、日常的に活用するようになりました」
(高橋先生)
  スキャナーはそれまで行橋北小学校ではほとんど使われていなかったが、研修をきっかけに、授業への利用が広がったという。
  また、今回見学した5年生の社会の授業では、都道府県に関するクイズをつくるために必要な情報を、ベネッセの「スクールイントラパック」を使い、インターネットで検索して集めた(実録e授業参照)。
  今回は、このソフトのリンク機能を利用して、あらかじめサポーターが授業内容に該当する四つのサイトを登録しておいた。子どもが情報の選択に必要以上に迷うことがないようにという配慮である。この方法なら、有害サイトに間違ってアクセスすることもない。インターネットを使った授業の導入に適した機能だ。
  「子どもたちは、時間内に狙い通りの作業ができました。リンク機能によって、参考にしてほしいウェブサイトに直接アクセスできるのも安心でした」(5年生担当・伊藤美幸先生)
  インターネットの活用は、図書館での調べ学習に比べると短時間で済み、限られた時間の中で必要な学習を進めるには効率的だ。
  とはいえ、授業中の作業をすべてICTに頼るわけではない。調べた結果はプリントアウトさせるのではなく、所定の用紙に書き出させるという手作業を組み込んでいる。
  「書籍などを使って調べるのに比べ、パソコンでは効率的に調べられますが、印象に残りにくい。文字で書かせることで、定着を図っています」(高橋先生)
  パソコンによって、教師の作業が軽減し、授業が効率よく進む。ただし、知識の定着のためには、手作業を組み合わせるなどの工夫も必要といえるだろう。

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