保護者との関係が難しくなった―。 そんな声を先生方から聞くことが多くなった昨今。 新聞やテレビでは無理難題を要求する「モンスター・ペアレント」と呼ばれる保護者がクローズアップされ、学校への不当な要求に対する社会的批判も高まっている。 だが、「子どもを育てる」という目標は、本来、学校にとっても保護者にとっても共通のはず。 学校と保護者が協力して子どもを育てる大切さを、今こそ考えたい。
今回の特集に先立ち、『VIEW21』編集部では全国の小学校を対象に、保護者との関係についてのアンケート調査を実施した。
まず、保護者と学校との関係を尋ねた図1から見ていきたい。困った保護者の存在が新聞やテレビで頻繁に取り上げられているが、実際には「学校の取り組みに否定的な保護者」 は、多くの学校では0~2割程度である。フリーアンサーでも「本校ではそれほどのことはない」「ほとんどの保護者は協力的」等の回答はかなりの数にのぼり、保護者とのトラブルがあるとした学校においても「たまにあるが、時間をかけて話し合い、解決している」といった回答が目立った。
全般的に保護者との関係が悪化しているというよりは、一部の極端な保護者の対応に苦慮しているのが、多くの学校の状況ではないだろうか。
しかし、否定的な保護者こそ少ないものの、学校に関心を持っている保護者となると、それほど多くないようだ。「学校の取り組みに無関心な保護者」の割合(図2)は、過半数の学校が「0~2割程度」に収まるとしているものの、「2~4割程度」という回答が約3分の1存在する。 学校を地域や保護者の活動の場にするなど、無関心な保護者たちが学校に足を運ぶ機会を少しずつでもつくっていくことが、協力的な保護者を増やしていく第一歩になるかもしれない。
一方で、学校が保護者の対応に苦慮することについて尋ねた図3からは、現代の保護者の特徴が読み取れる。中でも「学習指導の方針」や「子どもの成績」といった学習にかかわる項目よりも、「子どもの友だち関係」「学校の生活指導」「給食費の支払い」「親子関係」などが上位を占めている点に注目したい。従来、家庭や地域社会で解決されてきた問題が学校に持ち込まれ、対応が難しくなっている状況が読み取れる。 多様な保護者のニーズにどのように応え、良好な関係を築いていけばよいのか。次ページからの、識者の提言や学校事例を参考にしてほしい。