つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地域社会から学ぶ「4じ5じスクール」

 元山校長は、地域社会のサポートを教育に生かすことにも積極的だ。
私立の学校と比べて、公立校が強みにできることは地域性という土台です。地域社会の協力を得て初めて、公立は特色のある教育を実現できる。学校選択制がいつ導入されてもよいというくらいの心構えで学校づくりに取り組んでいます」
  授業には積極的に地域の素材を取り入れ、田んぼで米づくりをしたり、地元の豆腐屋さんと共同で大豆から豆腐づくりに挑戦したりしているが、中には授業では扱いにくいテーマもある。そこで元山校長の発案で導入したのが、「4じ5じスクール」だ。伝統芸能の神楽、茶道、着付け、日本舞踊、英語、中国語などの講座を放課後の午後4~5時に開く。全3回の講座を各学期に平均2コース設置。各コースの定員は親子10組、計20名だ(写真1、2)。
  講師は、元山校長らが地域住民や保護者の中から探して依頼。講座の運営は、着付けなら家庭科主任、英語なら国際理解主任など、講座内容と関係のある教科の教師が担当するが、受講生の保護者と対等な人間関係を築く機会になっているという。着付け教室のコーディネート役の教師は、「昨年、担任をしていた子どもの母親が受講していますが、ここでは教師と保護者という関係ではなく、1人の大人として接しています」と語る。
  「4じ5じスクール」は保護者に好評で、「学校としての特色づくりができている」という評価に結び付いている。そのため、以前のように近隣の学校と比べての要望を寄せることがほとんどなくなったという。
写真3
写真1 着付け教室では地域で師範を務める講師と、お弟子さん3人で指導する。全3回の講座で子どもでも1人で帯を結べるようになるという
写真2
写真2 茶道教室の様子。礼儀作法からお茶のたて方まで、一連の流れを指導する。子どもにとっては、普段、触れることの少ない日本文化への入り口となる
  こうした取り組みに加え、保護者や地域住民との良好な関係を保つには、日頃からの小さな気遣いも不可欠、と元山校長は強調する。幸松小学校の敷地は40~50軒の民家に囲まれているが、その1軒1軒に年始の挨拶に回り、定期的に学校だよりを配付している。また、学校を囲むフェンスには「瓦版」という地域向けの掲示板を6か所に設置し、学校の取り組みや方針を伝えている(写真3)。
  「運動会など放送が騒がしいときでも苦情が1件もないのは、そういう関係がベースにあるからでしょう」(元山校長)
  PTAや保護者にボランティアなどの依頼をしたあとのフォローも大事にする。鳥小屋の当番を保護者に頼んだときは、学校だよりに「元気に育っている」「子どもが喜んでいる」とその後の経過を書き、保護者にも鳥の様子が伝わるようにしている。
  「一つひとつは小さなことですが、感謝の気持ちを形にして表現することが信頼関係を築くのです」(元山校長)
写真3
写真3 学校を囲むフェンスには、「瓦版」が6か所設けられている。掲示物は月に1度貼り替え、地域住民に対して情報を発信している
まとめ
保護者の意見には、学校組織全体で即座に対応をする
感謝の気持ちを形にして伝えることが信頼関係につながる

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