前川校長はそうした声を一つひとつ検討し、学校が対応できること、できないことを、きちんと説明して理解を求める姿勢を貫いた。例えば、低学年のモジュール学習により、他校に比べて学習時間が少なくなっているのは事実だったため、話し合いの結果、廃止した。一方、運動会の種目については、それぞれの狙いを説明して保護者に納得してもらった。
保護者の声には「おかしい」と感じる内容が含まれるのも事実だが、前川校長は教師に対し、「納得できない要求であっても、しっかり聞くことが大事。その上で、対応できないのなら『できない』と伝えればよい。その方がむしろ信頼感は高まる」と話している。こうした話し合いを通じ、前川校長は、学校の発信する情報は、学校が考えるほどには、保護者に伝わっていないことに気づいたという。
「学校便りやウェブサイトで情報を伝えた気になっていますが、保護者は意外に読んでいない。実際に顔を合わせるコミュニケーションの必要性を改めて感じました」 |