こうして培った確かな学力を土台に豊かな心と健やかな体が育てられ、初めて「生きる力」が生まれます。生きる力を語る際に「子どもは元気であればよい」という声が聞こえることがありますが、それだけでは不十分であることは明白です。「生きる」ということには、社会的な責任を果たすことが含まれます。そのためには知性や理性が欠かせません。
例えば、今回の改訂では、小学校の社会科に47都道府県の名称や位置の学習が追加されました。地方分権が進み、市町村合併などが進行している中で、都道府県に関する基礎知識は、社会生活をする上での大前提になります。
自分の人生を充実させるためにも、知性や理性は不可欠です。人生にはいろいろなステージがあります。やりがいのある仕事を任されずに不満を感じている人でも、教育を通して音楽の楽しさを知っていれば、生活に充実感をもたらすことができるかもしれません。思うようにいかない時期にも自分自身の力で人生を充実させる知恵を持っていることが大切なのです。
教師の皆さんは、すべての教科をテストや受験のための知識だけにとどまらせず、生きることに結び付ける教育を心がけるべきです。その意味では、人生を充実させるのに役に立たない教科などありません。
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