データで読み解く新学習指導要領
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【Part 1】

データで読み解く
新学習指導要領(1) 基礎的・基本的な知識・技能の習得

低・中学年で徹底したい基礎・基本

ベネッセ教育研究開発センターが実施した「第4回学習指導基本調査」の結果では、指導の重点や教師の教育観が基礎・基本の徹底に移ってきたことが明らかになった。この傾向は、「全国学力・学習状況調査」で基礎的な知識・技能を測るA問題の平均正答率が、国語・算数共に8割を超えた理由の1つとも考えられる。

「基礎・基本」路線に大きく舵を切った学校現場

 ここ5年間で指導方法はどのように変わったのか。図1を見ると、前回(02年)に比べ、いずれの教科でも「市販プリントを用いての学習」が増え、とりわけ「市販テスト(業者テスト)の利用」は8割以上に達している。一方で、「児童にテーマを選ばせて行う学習」「学校外の現場・フィールドでの体験的方法による学習」は、一部の教科で増加が見られるものの、全体的にはほとんど変化していない。

図1

  教師の教育観も大きく変化している(図2)。「どの子どもにも、できるだけ学力をつけさせること」「不得意な教科や領域の学力をつけさせること」を大切にする意識が高まっている。半面、「自発的に学習する意欲や習慣を身につけさせること」「学問的に重要なことがらよりも、子どもが楽しく学べる授業にすること」を大切にする意識が低くなっていることから、基礎・基本を中心に学力の底上げを目指す教師の意識が垣間(かいま)見える。
  学習指導基本調査の研究会代表でお茶の水女子大大学院の耳塚寛明教授はこう指摘する。
  「現行の学習指導要領の導入を機に、学校は基礎・基本の徹底へと回帰しました。児童支援を重視する教育観が弱まり、教え込みによる学習指導が重視されるようになったのです」
  「全国学力・学習状況調査」のA問題では平均正答率が8割を超えたが、耳塚教授は「すべてを教師の指導の成果と理解するのは早計。知識・技能においても課題はあると考えるべき」と警鐘を鳴らす。

図2

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