読解メソッドの授業では、従来の国語ではカバーしきれなかった「自分で考えて、表現する力」を中心に学習を進める。読解力を「論理的に思考し、自分の考えを表現するための方法を身につけ、実社会・実生活の中に生かすことができる力」と定義。「論理的思考力(考える力)」を核として、「課題設定力」「情報活用力」「コミュニケーション力」「記述力」を身につける授業を展開する。
授業はフィンランドの国語教科書のほか、補助教材を使って進める。新聞、絵、音楽、写真など表現にかかわるものすべてが教材だ。
例えば、2年生の授業では、生活科の「たんけん! はっけん! ごしょみなみのまち」の活動でお世話になった店の宣伝ポスターを作った。最初に「どのようなポスターにしたら、お店の良さが伝わるだろう」という疑問が子どもたちの間から出てきた。そこで、教師は2種類のポスターを紹介。グループでどのような内容が書かれているか、どんな表現の工夫がされているかなどの意見交換をして、気づいたことを「わくわくアイデアカード」にまとめた。最終的には、一人ひとりがポスターを制作した。
6年生では、新聞に投書することを目標とした授業を展開する。まずは「新聞を使って、どんなことが学べると思う?」と問いかける。「株のページもある」「読み比べてみると、新聞によって内容が違う」と子どもから気づいたことを引き出し、新聞を知ることから始める。次に社説を読み、「事実は文末が『だ』、『のだ』、『である』になっているね」と、新聞で使われている表現方法や論の流れに着目させる。そして、掲載されている投書の中から各自1つを選び、「その考えに賛成か反対か」と自分の意見を考えさせた。その後、4人のグループで意見交換をし、グループごとに発表。最後に、一人ひとりが投書を書いた。
1つのテーマに充てる時間は3、4時間だ。テーマによって課題や内容は異なるが、進め方はほぼ同じ。まずは自分で考えさせる。次に、自分の考えをグループで発表し、意見交換する。そして、交流によって深まった考えを自分でまとめる。「個の学び→グループ学習→個の学び」というプロセスで学習を進めることにより、自分の考えをしっかり持ち、表現することができるようになっていく。
「読解のプロセスは、学びのプロセスと同じです。まずは1人で教材を読み、自分の体験や知識と比べたり関係付けたりしながら自分の考えをつくる。その上で、グループ学習でほかの人の意見を聞き、自分の意見と比べながら考えを深めていく。読解力を養うにはグループ学習が大切ですが、人の意見をきちんと聞くことができる関係がクラス内にできていることが前提となります(写真1)」(村上校長)
例えば、前述の6年生の授業で使用した投書の中に「子どもにとって最高のご褒美は褒められること」という趣旨のものがあった。グループ学習では、「褒められるとやっぱり嬉しいよね」とうなずき合う中で、「『成績が上がって褒められると、また次も褒めてもらいたいと思う』というところには反対」との意見が出た。「だって、勉強は褒めてもらうためじゃなくて、自分のためにするものだから」という考えにほかの子どもたちも納得。グループごとの発表では、「賛成」だが部分的に「反対」ということを理由をつけて説明した。
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