算数の学習において、「数と計算」の占める割合は大きい。学習指導要領が目標として掲げる、社会に出てからも通用する「考える力や態度」へとつながる基礎的な知識と技能の筆頭が「数と計算」といえるだろう。そこで、今回の「小学生の計算力に関する実態調査」は、
◎学習指導要領の範囲の計算が、一人ひとりに確実に身についているか
◎学習指導要領の範囲外の計算においても、自力で解決できるよう、計算原理を理解し、活用できる力が身についているか
という2つの実態を明らかにするために実施した。また、計算力の高低には、算数や学習全般に関するさまざまな意識が影響していると考えられるため、意識調査を併せて行った。
小学1~6年生の計算問題の正答率(図1)を見ると、学習指導要領内の問題では、一番低い5年生でも約70%、他学年はそれ以上であり、おおむね計算力は身についているといえる。しかし、1~3年生は正答率は約86~96%と高いが、4~6年生の正答率は約70~80%と低い。小3までと小4以降の間に、計算力の断層があるといえるだろう。
学習指導要領の範囲外の問題の誤答率は、学習指導要領の範囲内の問題と比べ、数値が高かった。更に、3年生と4年生以上の大きな差異として、4年生の無答率の高さが挙げられる。解答しようと挑んで誤るのではなく、解答そのものをしない層が増えているというのが特徴だ。
|