今回の調査では、同じ問題を、意識的に異なる学年で一部出題した。例えば、3年生の「403×708」という問題は、4年生にも出題した。この問題の正答率は3年生では30.3%だが、4年生では29.1%で、学年が上がったのにむしろ低下している。誤答例を見ると、31434と回答したのは3年生では8.4%(110人)だったが、4年生でも5.9%(80人)いた(図2誤答例1)。更に、2824と誤答したのは3年生では4.9%(64人)、4年生では3.5%(47人)だった(図2誤答例2)。
空位ゼロの扱い、桁のそろえにおいて、複数の児童が全く同じミスのステップを踏まなければ、同じ誤答にはたどり着かない。計算の仕方について理解が誤っているか、技能が習得されていないということであり、その課題が解消されないまま学年が上がっている。計算の仕方を十分に習得できていない児童への指導を検討する上で、興味深い例だろう。
|