新学習指導要領へのアプローチ 第1回 「言語活動」で広がる学び
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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「この資料で調べてもいい?」と自分で解決するように

 浜寺小学校では教科学習を通じて読解力を育てる取り組みを行っているが、森嵜先生は「子どもの成長を最も感じるのは、『総合的な学習の時間(以下、総合学習)』です」と話す。
  「私たちが指導しなくても、『この資料を使って調べてもいい?』と子どもが自分で資料を探し出して、自分が抱えている疑問を自分で明らかにしようとする姿が見られるようになりました。国語や理科、社会などを通じて高めようとしてきた読解力が、確実に身につきつつあることを実感しています。各教科で読解力をしっかり育てないと、総合学習での子どもの取り組みは充実したものになりません。逆に、総合学習で必要になる力を考えれば、『総合学習では資料を読み込み、表現する力が必要になる。だから、国語では説明文を読み、意見文を書ける力を伸ばそう』というように、教科で身につけさせるべき力も見えてきます。教科あっての総合学習ですし、総合学習あっての教科だと思います」
  浜寺小学校の総合学習は「いきいきタイム」と名付け、3年生は「地域」、4年生は「環境」、5年生は「福祉」「防災」、6年生は「キャリア」をテーマとしてプロジェクト方式で進めている。例えば、4年生では「浜小をエコスクールにプロジェクト」を07年度のテーマとして設定した。子どもたちは数チームに分かれ、ゴミの減量やエネルギーの節約を実現させる方法を調べて実行し、発表会ではその活動報告を行った。更に、「浜小環境サミット」を開き、未来へ素敵な地球を手渡すために自分にできることをサークルになって話し合い、「私の環境宣言」を書いた。総合学習でこうした活動が可能になるのは、森嵜先生が話していたように、浜寺小学校の子どもが教科やサークルタイムで話し合いや表現活動をたくさん経験しているからだろう。
  新学習指導要領では、総合学習の授業時数が削減され、教科学習の授業時数が増える。これを「ゆとり教育から詰め込み教育への回帰」と見る向きもあるが、由良芳子校長は「本校にはそうした考えはない」と話す。
 「九九や漢字といった基礎的な学力の定着はもちろん大切です。本校でも少人数授業による個に応じた指導や、週2時間ある学校裁量の時間のうち1時間を『パワーアップ算数・国語』としてプリント学習に取り組ませるなど、基礎学力の習得を重視しています。一方で、論理的な思考力や自分の考えを言葉にする力といった、点数にはすぐに表れない学力も、教科学習で着実に育んでいくことが大切です。総合学習では、こうした教科で養った学力をフルに使い、自分たちが生活している地域や社会が直面する課題をどうすれば解決できるかについて取り組んでいくわけです。つまり教科で学んだことが総合学習で生かされることによって、初めて『生きて働く学力』になるというのが私たちの考えです」
  浜寺小学校は、読解力の育成を重視した取り組みが子どもたちの成長に確実に結び付くことを確信している。


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