新学習指導要領へのアプローチ 第2回 学びが深まる「算数的活動」

加藤 明

▲加藤 明


かとう・あきら◎専門は教育方法学。小学校教師として教壇に立ったあと、ノートルダム清心女子大助教授、京都ノートルダム女子大教授を経て、2006年から現職。中央教育審議会専門委員、文部科学省検定教科書・小学校「算数科」「生活科」編集委員等も務める。主な著書は、『評価規準づくりの基礎・基本~学力と成長を保障する教育方法~』(明治図書出版)など。

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 3/15 前ページ 次ページ

【インタビュー】 実践のポイント

「スパイラル」の視点や「算数的活動」によって
理解は確実に深まっていく

京都ノートルダム女子大心理学部教授・学部長 加藤 明

新学習指導要領には、「算数的活動」「スパイラル」、あるいは「習得と活用」「言語活動の充実」と
いった考え方が盛り込まれている。それぞれの考え方を理解して、
それを実践に結び付けるにはどうすればよいのか、算数科の教育に詳しい加藤明教授にうかがった。

「算数的活動」や「スパイラル」がすべての教師に求められる

 新しい学習指導要領は、これまで算数教育に力を入れてきた先生にとっては、納得できる内容になっているのではないでしょうか。意識の高い教師が積極的に取り組んできた「算数的活動を通して指導する」ことや「学年間の指導内容を円滑に接続させるため、適切な反復(スパイラル)による学習指導を進めるようにすること」などが、学習指導要領の中に、明確に文言として盛り込まれているからです。これによって算数的活動やスパイラルは、一部の教師の工夫の範囲にとどまらず、すべての教師が取り組まなければならない事項となりました。
 つまり、新しい学習指導要領によって、これまで学校現場で全く実践されていなかった新しい考え方や特別な取り組みが、導入されるわけではないのです。算数教育において大切なことを改めてしっかり確認し、学校現場に広く深く浸透させることが、新学習指導要領の狙いといえます。
 そこで、新しい学習指導要領のポイントを押さえつつ、具体的に学校現場でどのような指導が大切になるかを述べたいと思います。


   PAGE 3/15 前ページ 次ページ