算数では、現行学習指導要領への移行時に削減された多くの単元が「復活」し、6年間の授業時数が計142時間増える(図1)。授業の内容についても改善が求められている。特に「算数的活動」の重要性を強調したことは、今回の改訂の大きなポイントだ。 前ページに示した「小学校『算数科』改訂のポイント」によれば、「算数的活動」とは、「知識・技能を活用する力を育成し、学ぶことの意義や有用性を実感」させる活動とされる。実際の授業に当てはめてみると、具体物の操作を通して抽象的な概念を理解させたり、生活体験と算数の学習内容のつながりに気づかせたりする授業が相当するだろう。授業時数・内容増によって「基礎的・基本的な知識・技能の習得」を確実に図りながら、「算数的活動」によって、「思考力」「表現力」「判断力」を養う授業づくりが求められるのだ。
現状の小学校の指導状況には課題もある。図2は07年度に文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」の調査結果からの抜粋である。算数の指導に関して、家庭学習の課題を出したり、計算問題の反復学習を取り入れたりする教師が多い一方、発展的な学習や、生活における事象との関連を図る授業をよく行う教師は少数であることがわかる。新しい学習指導要領に沿った授業スタイルへの転換は、これからの課題のようだ。 09年度に始まる移行措置を見据え、今後どのように授業づくりを進めればよいのか。算数教育に詳しい京都ノートルダム女子大の加藤明教授に次ページから話をうかがっていく。