教える現場 育てる言葉 「これしかない」と信じることが一流への道につながる

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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仕事の意義を明確にすることがプライドとモチベーションを生み出す

 社員のモチベーションの維持も重要な社員教育の一環だ。「連続日本一の記録を途絶えさせるな」と上からいってみたところで、社員はその気にはならない。働くことの意義を明確に伝えることで、社員のモチベーション維持に努めている。
 「まず、社員一人ひとりの気働きが、会社の利益に直結しているのだとはっきり伝えています。例えばお客様との会話で誕生祝いでお見えになったことに気付き、小さなケーキをお出しすることはコスト的にはほんのわずかなことでしかありません。しかし、そうしたおもてなしに多くのお客様が感動してくださるのであり、その積み重ねは確実に加賀屋の繁盛につながるわけです。社員の気働きが会社の評価に直結していると共に、自分の給与にもつながっているのだと分かってもらうわけです。
 それと同時に、加賀屋にお客様がお越しになることで旅館の取り引き会社や温泉街の商店なども潤い、地元に大きく貢献しているということも社員に話します。我々は、仕事を通して地域貢献を果たしているのだという意識は、社員にとってこの上もない誇りになっています」(小田社長)
 このように自分たちの仕事の意義を明確にし、繰り返し訴えることで、加賀屋で働くことは社員のプライドとなり、高いモチベーションが維持されるのだ。クレームを生きた教材とし、教える対象を家族の一員として処遇し、使命感の付与によって意欲を向上させる。こうした教える知恵によって、決してマニュアル化できない〝もてなしの心〟は次代へと受け継がれていくのである。
写真
加賀屋の姉妹館「あえの風」の接客風景

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