「いかに英語との『幸せな出合い』を感じさせるか。それが小学生に英語を教える教師にとって最も大切な心がけだと考えています」
長年、小学校英語について研究し、教材の開発なども手がける戸田市立戸田第一小学校の小川隆夫先生は、そう話す。特に大切なのが、英語を「学習するもの」としてではなく、日本語と同じ「言葉」であると認識させることだという。そのための指導には、「国語の導入期の指導が参考になります」と、小川先生は説明する。
「1年生には日本語を一から教えるのではなく、それまでの生活を通して吸収した言葉を整理することから始めます。英語も同じように、子どもは普段から多くの英語を見聞きしていますし、会話ではカタカナ英語も平気で使っています。そうした潜在的な英語力を引き出していく指導により、子どもは英語を『言葉』と捉えて興味を持つのです」
最初にアルファベットを教え、次に単語や文章に入るという従来の教科書的な流れではなく、まずは日本語化している英語を黒板に書き出し、本来の意味や発音との違いを比べるなど、身近な英語からの導入を小川先生は勧める。
更に、小学校の教師ならではの強みを生かし、他教科と関連させた指導を充実させることを提唱する。
「一例ですが、6年生の理科で食物連鎖を指導する際、『eat』という単語を使ってみることができますね。Insects eat grass. Rats eat insects. Foxes eat rats. という具合にです。こうした指導によって、子どもは身のまわりのことを英語で表現できることに気づくのです」 |