小川先生が、小学校英語の「基礎・基本」にあたる要素として重視しているのが、英語の「プロソディー」の習得である。プロソディーとは、リズムや音の高低などの要素で構成される、その言語に特有の音声的な性質のことだ。
「いわゆる『日本語英語』の話し方は、文の始めから終わりまで平坦に発音している日本語のプロソディーを、そのまま英語に用いている状態です。こうした話し方は、外国人にとっては非常に聞き取りにくく、ほとんど理解されないかもしれません。個々の単語の発音はもちろん大切ですが、ある程度の長さの英文をきちんと英語のプロソディーに乗って話す練習をすることが、まずは大切だと思います」
英語のプロソディーは、内容語(名詞、動詞、形容詞、副詞など)は強く高い音で発音するのに対し、機能語(冠詞、前置詞、代名詞、助動詞など)は低く弱い音で発音し、しばしば内容語に飲み込まれるといった特徴がある。こうしたプロソディーの習得に有効なのが、「チャンツ」を活用した学習だという。チャンツとは、一般にはリズミカルに唱える詩や言葉遊びを指す(図1)。これを繰り返すことによって英語の音に慣れて、プロソディーが自然に身につくという。 |